[tmkm-amazon]B001HK0HQO[/tmkm-amazon]

もともと坂本”教授”龍一は、渡辺香津美のキリン・セッションに参加するなど、ジャズ・フュージョン的な一面もあったのは事実。清水靖晃の「北京の秋」(ジャズ・スタンダードをwithストリングスで演奏した歴史的名作)においても、ジャズっぽいピアノを披露している。

そこに今回、坂本自身の口から「もともと3人ともスライ&ファミリー・ストーンが好きで」と語られたことで、やっとYMOという「バンド」の下地がわかった気がした。「元々、ファンク・バンドとしての側面がYMOにはあった」と坂本は言うのだ。

そう考えると、YMO以前の細野晴臣の活動ともつながるし、もちろん坂本のジャズ的センスを解体し再構築したようなソロ活動(「サマー・ナーヴス」や「千のナイフ」、「音楽図鑑」など)の意味もわかる。「テクノ」という言葉のみが先行してわかりにくくなっていたYMOの(とくに「BGM」以降の)変遷が、やっと俺の中で腑に落ちた。そう、「テクノドン」から「スケッチ・ショウ」、「HAS」にいたるまで、YMOはリズム・バンドだったのである。

普段おいらは、「ライブは共有体験があってこその創作であり、記録を再生することに意味は薄い」という理由からライブ・アルバムには手を出さない。演奏や歌唱など、荒っぽかったり譜割や音程を間違ったり、完成度の面でレコーディングに劣ることが散見されるからだ。だが、それもライブという共有体験が全てにおいて穴をうめてしまう。同じ場にいて、目の前でパフォーマンスすることに意義があるからだ。それなくして音だけを拾うことにどれほどの価値があるのか?と(その意味では映像付きのDVDはまだ価値を認める)。

だが、上記の「EUYMO」は、純粋に音楽CDとして素晴らしい。ただ単に一発録りのセッションであると考えても良い。特にリズムのすごさ、ユキヒロ・ドラムと細野ベース、坂本バッキングのクールでいて熱い、言葉では矛盾するようなリズムの完璧さにはまったくしびれた。特にロンドン・ライブの2枚目はまさにファンクである。