http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/avt/20100810_386682.html

3Dテレビにまつわる本田雅一さんのコラムである。個人的には3Dテレビは「魅力的なソフトがなければまだまだ待ち」なのだが、ハードが先行しなければソフトの魅力を検証しようもない(見たくても見る方法がない)のだから、不要論が出ようとハードが先行するのは当たり前。そしてソフト自身はすでに映画というカタチで次々と製作されており、文中の「せっかく3Dで制作した作品を、(中略)2Dソフトとしてのみ販売するというのは考えにくい」というのは至極当然。

で、気になったのは3Dテレビ云々じゃなく、映画の3Dブームの方なのだ。

文中には、3Dテレビがプッシュされているのは、「ハリウッドが望んだから」と言う部分がある。洋の東西を問わず現代の映画やドラマは、上映や放映のみで稼ぐのみならず、2次市場、つまりパッケージソフトの販売まで含めて稼ぐしくみなのである。興行成績も気になるが、パッケージを売ってようやく製作費回収という予算管理も当たり前。日本のアニメもそんな感じですな。某誌で「深夜アニメはOAVの末裔」と書かれていた。

また、3Dソフトはコピーが容易でないというのも要因として大きいと聞く。映画館での隠し撮りも3Dならばほぼ無駄になるし、そう考えると、実は3Dソフトで重要なのは、3Dであることよりも「メガネ無しでは見られない」ことにあったりして。

話がそれたが、映画業界が3Dに力を入れている状況がありきで、3Dテレビのプッシュがあると言うことだ。「アリス・イン・ワンダーランドの入場者のうち81%は、3Dでの上映を選んでいる」というのも驚きで、こういう新しものはアーリーアダプター(ようは新しもの好き)がまず飛びつくものだが、もうすでに一般の客も3Dに食いついているのだねえ。

「アリス・イン・ワンダーランドは、公開直後の2日間では、アバターの倍以上の興行成績を挙げたという」ともある。こうなるとネタ切れハリウッドが客を逃さないために3Dに飛びつくというのはわかる。不況知らずのように思えるハリウッドだが、危機感は持っているということなのだろう。

つまり昨今の3D映画ブームは、ハリウッド自身が生き残りを意識し始めたと言うことではないだろうか。3D映画に批判的・懐疑的な人、今もって2D映画を支持したい人たちは少なくないと思うが、状況を知ることによって論点をどこに置くべきか考えるのも良いと感じた。「俺は2Dの方がいい」と訴えるのも良いが、せっかくなら作り手に訴求する発言をした方が影響力を持つのではないだろうか。