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ええ、こんな天候の中、行って参りましたよ「クザリアーナの翼」。

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以下ネタバレ注意。

地球ゴージャスの観劇はこれで三度目。スケールの大きなエンタテインメントは日本でも屈指だと思う。

今回は、架空の軍国主義独裁国家ジャメーリアのお話。国民には4つの階級があり、1番上は独裁者である大帝クエーサーただひとり。2番目が軍国民(軍人)、3番目が平国民、そして4番目にして最下層が「デッシュ」と呼ばれる奴隷階級。

まあ、カンタンにいうと革命のお話なんですが、単なる「極悪な独裁者に下層階級が反旗を翻す」というものではない。

軍国民の総司令スワン元帥(♀)の歪んだ寵愛を受けたデッシュの女性イグレット。だが最強無敵を誇るスワン元帥が、子を持つ母でありその子を殺されると脅されたイグレットに殺される、とか。

そのスワン元帥の身代わりに、主人公ガンクツ(デッシュ)の妹にしてスワン元帥にうり二つのグースがなりすます。だが、軍国民総司令の華麗にして裕福な生活に魅せられたグースは、デッシュに帰ることを拒み、皮肉なことに革命のさなかに軍国民に間違われデッシュの民兵に殺される、とか。

そして大帝クエーサーの望みとは、革命により下層階級に殺されることだったり、とか。その日のためにこつこつと自分の棺をつくるクエーサー。軍事力が突出したジャメーリアは、いつも他国の脅威に苛まれ、内心では恐れおびえ萎縮している。そんな国家に風穴を開けるために、国をひっくり返し作り直すパワーを求めたのだ。

だが、本作品は単なる勧善懲悪の革命ものでは無い。それが民衆の解放のための戦いだとしても、戦いはむなしいものだ、と訴える。ガンクツに恋するコルリやグースの死がそれを物語る。

大帝クエーサー(ヤマトのオマージュなのかな?)役の中村雅俊さん、テレビで見る芝居とは一味も二味も違い、失礼ながら、こんな幅も懐も広い役者さんだったんだ、と驚かされた。大帝役の威厳といい、ちょっとしたユーモラスさといい、本作のラスボスにふさわしい。

山本裕典さんの身体能力にも目を見はった。前作の三浦春馬さんに匹敵する、見た目より遥かにポテンシャルとスペックの高い役者さんだと思わされた。声も良く通るし芝居が素晴らしい。

そして、スワン元帥とグースの二役の湖月わたるさん。さすがは宝塚出身、モノが違う。舞台映えとカリスマ性が、ご本人の実力に加え、稽古と本番の場数が違う!と思わせる。声だけでも客席を揺さぶるような魂の入った演技、やーすげえ。

今日の雪で、行こうかどうか、いや行くのはいいが帰れないかも?なんて思ったけど、見て良かった!