http://www.honda.co.jp/ACCORD/

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ホンダアコードが誕生40周年なのだそうだ。全然アニバーサリー感がないがホンダ仕事しろ(笑)

僕の年代だと、アコードのデビュー当時の思い出がある、シビックより一回り大きいサイズで、当時あのような3ドアハッチバックはなかったと思うので、とても新鮮なクルマだった。

現在ではホンダといえばミニバン、たまに思い出したようにとんがったスポーツカーを出す、というイメージで、シビックもアコードも当時の面影はない。だがシビックは近々国内でも復活すると噂されているし、アコード自体は今もなお国内で売られ続けている。

そのアコードだが今やハイブリッドのみのラインナップで、あんなに流行ったワゴンも国内では売られていない。基本的に米国向けのセダンを日本用に適合したものだ。だから油断していた。今のアコードはとんでもなく先進的な高級セダンに変貌していたのだ。

ハイブリッドといえばトヨタ、というイメージがあるが、個人的には高嶺の花だしあまり興味もなかった。プラグインハイブリッドに至っては、クルマ用に充電設備が用意できない集合住宅住まいでははなから見向きもしない。なので恥ずかしながら、今時のハイブリッドの進化ぶりにはまったく気がついていなかったのだ。

今のアコード・ハイブリッドには、ギアボックスというものが載っていないのだそうだ。ハイブリッドといえば、駆動方式としてエンジンと電気モーターを状況によって切り替える、時に両方使うというものだと思っていた。だがアコード・ハイブリッドは、ほぼ90パーセントの状況において、モーターのみでの駆動が基本。2リッターガソリンエンジンがタイヤを駆動するのは、高速巡航運転時のみ。つまりクルーズコントロール作動時か、それに近い運転をドライバーがしている時だけなのだ。

それ以外のケースでは、モーターのみの駆動。エンジンによる駆動補助すらない。その場合のエンジンはバッテリー充電にのみ専念しているのだ。

アコードすげえ、と思ったが実は同じホンダではオデッセイなどもすでにこの方式。ホンダに限らずトヨタ・クラウンのハイブリッドも同様らしい。クラウン・ハイブリッドも変速機は電動CVTなる形式で、機械式のギアボックスはすでにないとか。

アコード・ハイブリッドに話を戻すと、ギアボックスを積んでいないとはどういうことか。そもそもギアボックスは、「特定の回転域でしかパワーもトルクも出ない」という内燃機関の特性、あるいは欠点をカバーするための機構なのである。エンジンはある一定の回転数しか使い物にならない、そこでクルマの速度を可変させるには「エンジンは力のある回転域だけを使い、ギアでクルマの速度を調整する」という方法をとるしかなかった。自転車に置き換えるなら、脚力のある人ならば自転車に変速機はいらない、坂道でも平地でも脚の力だけでこいでいけるが、そうでなければ変速機を使い、平地では高いギアで速く、上り坂では低いギアで、ゆっくり力強く登るのが効率的、みたいなことか。

内燃機関・エンジンも、力を出せる条件が限定的であるがゆえに、ギアボックスを使うしかなかった。

電気モーターはその点、どんな回転数でもトルクに大きな差はなく、馬力は回転数にほぼ比例する。というと極端だが、内燃機関ほどピーキー(力が出る回転域が狭い)ではない。なのでギアボックスに頼る必要性がエンジンよりも少ないのである。

高速巡航時にしかエンジンを駆動に使わないのならば、ギアはいらない。通常の6速くらいのギア比のギアが1つあればいい。ちなみに高速巡航時のみエンジンを駆動に使うのは、その状況下に限って、エンジンの方がモーターよりエネルギー効率が良いかららしい。

アコード・ハイブリッドにはギアセレクターレバーがない。プッシュボタン式のDポジションや、パーキング、リバースもスイッチ式。ただしハンドルの裏にパドルスイッチを持つグレードがあるが、これは減速時のバッテリー回生効率を4段階で切り替えるセレクターだそうだ。というと小難しいが、ドライバーの感覚的には、エンジンブレーキ(エンジンではないが)の強さが段階的に変わる感じだという。ブレーキ感が強いほど、バッテリーへの回生充電が強いということだろうか。

まあ、さらに注文をつけるとしたら、アコード・ハイブリッドのガソリンエンジンはもう1リッターくらいでいいのではないか。高速巡航時しかエンジン駆動しないのなら、ガソリンエンジンでもものによっては気筒休止する状況だ。あとは充電に使うだけなら小排気量でいい。ダウンサイジングの時代ですよ?

もう、国内を走るクルマはこの方式で統一してしまって良いのではないか。とくに大型トラックや商用車はエコの面からもこうなってほしい。市街地ではモーター駆動でゼロエミッション、高速ではエンジン駆動で速くかつ高エネルギー効率。なにせアコード・ハイブリッドのカタログ燃費はリッター30kmを超えているのだ。実燃費でも軽自動車に迫る燃費らしい。

いずれにせよ、これまで興味を引かなかったアコード・ハイブリッドに対し、にわかに好奇心が湧いてきた。「ほぼ電気自動車」「高速巡航時のみガソリンエンジン車」というアコード・ハイブリッド。機械があれば試乗してみたい。