話題のトヨタiQですが、おいらはこれは日本向きではないと思います。

まず、これはヨーロッパでの排気ガス規制がベースにあって生まれたクルマだと思うのです。あと、ヨーロッパでは全長3メートル以下のクルマは、都市部では税金が優遇されるとか。

速度無制限のアウトバーンのあるドイツですが、意外でしょうが都市部、つまり人間とクルマが共存する区域では最高速度は時速30キロメートルに制限されます。これは特にEC圏ではおおむねそうだったはず。いまヨーロッパの自動車メーカーは、思いっきりクルマをとばせる場所が無くて、テストや新車試乗会の場が設定できず困ることが多いそうです。例外はスペインで、最近スペインでの試乗会が多いのはそういうワケなのです。

ヨーロッパでは「人間とクルマが接近する区域では、人間を守るため速度制限が厳しい」のは当たり前。日本のように都市部で時速40キロメートル制限などという場所は、世界でもアジア地域だけらしいのです。まあ、韓国あたりは日本の比じゃないほど、都市部でもぶっ飛ばしているみたいですけどね。

それと、日本のように大型の輸送トラックが都市部をガンガン走っている国も世界的には珍しいはず。だいたいは自動車専用道路というものがあって、大型の車両はそういうところを走るものなのです。乗り合いバスは例外ですけど。そしてiQやスマートなどの「シティ・コミューター」と言われる超小型車は、アウトバーンをすっ飛ばして走ることをメインには考えていない。できるけどやるべきでない、というシロモノなのです。

となれば想像は付くでしょう。トヨタiQのように寸詰まりでクラッシャブルストラクチャー、つまり「衝突時のつぶれしろ」、そこがつぶれることで衝撃を吸収し、乗員を守る構造が極めて小さいクルマは、ヨーロッパのような「都市部速度制限時速30キロメートル、大型トラックと出くわす機会がない」地域でこそ運用できる規格なのです。日本のように「時速40キロメートル制限すら守れない大型トラックに追突される可能性が大」な地域では・・・

もちろん、iQが安全対策をおろそかにしているとは言いません。むしろ小さい分だけ、より安全に気を配っていると言えるでしょう。それにしても、日本の自動車環境下では、おいら個人はちょっと怖い。

iQに乗っている人は気を悪くされたかもしれませんが、日本の交通事情はiQに向いているとは思えないのです。「渋滞が多く、駐車スペースが少ない国にはピッタリ」と言う言葉に、素直にうなずけないんですよ。