今回はマジで良かったと思うぞ!

クジラ島からの脱出エピソード。正直、おかしいと思うところはあるけど、脚本が良かったんじゃないでしょうか。

リバシはクジラ島がどんなものなのかを見抜いていた。休戦中のシルバやプルケを交え、ジン、ノマリオとともに「大量の布と、燃料を集めろ」と指令する。命令されるのは心外なプルケだが、シルバが従うためにしぶしぶ燃料集めに。

プルケの妄想が楽しい。プルケは心底シルバにラブラブなんですね。見た目とは裏腹に中身はけっこう乙女なのであった。

バルカン博士は着々とブラックローズを修理、ついにそれは再起動に成功した。その姿は4本腕のガンタンクかゲッター3か、って感じ。さかえさんはけっこうカッコイイとおもいましたとの言。

リバシの作戦は、巨大な熱気球でロイヤルゴールド号をつり上げ、空の太陽に突っ込むという。実はそれは太陽ではなく、空にあいた穴。クジラ島はやはり海底にあるらしく、穴から漏れた光が太陽に見えていたのだ。よく考えたら太陽が上り下りしないし、おかしいと気づいてもよさそう(笑)。ちなみに地上が夜のときは夜になるようです。

テスト飛行でうまく浮上できそうとわかり、喜んだのもつかの間、ブラックローズで白ヒゲが攻めてきた。リバシはこのまま地上への脱出をこころみる。が、ブラックローズの攻撃は想像以上に激しく、シルバが船から海へ落下してしまった! プルケも彼を救うため迷わず海へ飛び込む。ジンもまたシルバを救出すべきだと主張するが、リバシはこの機会を逃しては2度と地上へ帰れないとジンを諭す。だが、シルバとはともに力を合わせ地上へ戻ると約束したのだから、それを守るべきだと譲らない。ジンとリバシがもめている間に、ブラックローズの攻撃は気球を破壊し、ロイヤルゴールド号は海面へと落下する。だが、ブラックローズもまた充電切れのため沈黙してしまう。

リバシは怒り、ブリストル探検隊は解散だとジンに告げる。ショックを受けるジン。

いっぽうシルバはプルケに救い出され、軽傷で済んだ。だが、ジンがシルバたちのために地上脱出できなかったことを知り、責任を感じているようだ。

ふたたび気球を作るには、村中の古い布をすでに使い切ってしまっていた。シルバもリバシもそれぞれに考え、同時にひらめく。船の墓場たるクジラ島、難破船は掃いて捨てるほど転がっており、その帆を使えばよいのだ(今まで気づかなかった?)

ジンたちは帆をかき集め、ローズとスワードの協力もあって気球は再び完成した。ローズたちは長きにわたる夫婦げんかを結果的に仲裁したジンたちに恩返しがしたかったのだ。

クジラ島の人々に別れをつげ、ジン、リバシ、シルバ、プルケを乗せたロイヤルゴールド号は浮上する。ジンたちが地上に帰る方法を見つけ出したと知った白ヒゲは、ちゃっかりロイヤルゴールド号にワイヤーを打ち込み、便乗する。

太陽に見えた穴を順調に浮上するロイヤルゴールド号。だが、とつじょ穴に海水が流れ込み、ロイヤルゴールド号は地上に打ち上げられた。ついに地上への復帰を果たしたジンたち。クジラ島とは、地上から見るとクジラ型のシルエットの海底島の、潮吹き穴にあたる部分が太陽であり、そこから定期的に吹き上げる海水がクジラにみえることから名付けられたらしい。

さて、ここが変なのだが、シルバは約束だからと、地上に生還したときにリバシに航海日誌を渡すのだ。つまりリバシは前回の言葉通り、地上復帰作戦の間だけ日誌をシルバに預けていたに過ぎず、何のためにそんなことをしたのかはわからない。シルバもすんなり返す必要はなく、海賊らしく裏切っても良かったのでは、と思わせる。ただ、ジンがシルバのために一度は地上復帰を失敗したことを知っているだけに、シルバなりに借りを返したと言えるかも知れない。

だが、シルバの行動には根拠もある。リバシに航海日誌のことを「本当は返したくないんだろ?」と訊かれ、「いや、そうでもない」と答える。ジンを見て、無言で微笑むシルバ。そのまなざしに意を悟ったのか、「ブリストル探検隊へようこそ!」と返すジン。そう、シルバはジンたちの仲間になることを決意したのだ。ともに旅するのであれば、航海日誌は誰が持っていてもいい。海賊というにはあまりにきまじめなシルバ、ジンの仲間を思う気持ちに、心が動いたのだろう。リバシもまた、一度はジンと決裂しながらも、そんなジンだからこそ良いのだと、二人は握手を交わす。

ジンが、たとえ地上に戻れなくても、シルバを見捨てられなかった中盤の展開といい、キャラクターたちの心の動きがしっかり描きこまれていて、今回はとても素晴らしいエピソードだった。