ザ・バットマンのここのところのエピソードが地味にいい話なのでした。

「奪われた時間」、「リドラーの報復」、「うわさ」の3話。

「奪われた時間」は、運の悪い男が運悪く起こしてしまった罪で17年服役し、その間に身につけた「20秒だけ時間を戻せる」能力でゴッサム・シティに復讐をはかるという、いかにも人間くさい話。敵の攻撃を受けても、20秒戻してもう一度やり直してそれをかわす、と言うことを延々繰り返すので絶対に負けない。言い放ったジョークがイマイチだから戻す、とかいうくだらないところまで人間くさくてイイネッ。バットマンはもともと原作からして深い人間ドラマなのですが、ザ・バが原作に忠実と思われるのがこの部分。舞台が2007年になろうと、メカがイマ風になろうとそこだけはガチなのねって感じでプー。

オチも好きだなあ。クリスマスの話みたいなので、その雰囲気も含めて。17年の時間を戻して人生をやり直すというファンタジーご都合主義と言えばそれまでだが、そうなる理由にも無理がないと思う。脚本はSteven Melching。Amy Wolframか太田愛か、って感じの心温まるエピローグでした。

あと、ザ・バのいいところは、どんな苦境に陥っても、バットマンもロビンもバットガールも「絶対に絶望しない」ってところ。これが日本アニメだと芝居が星飛雄馬になりがちなんだよね。「ヒーローは絶望しない」がアメリカンアニメーションのお約束なのかいな。

リドラー・ビギンズの話も人間くさい。まあ、ちょっと人間くさすぎるリドラーにサイコな部分が後退してしまってつまらない、とか、ここで恋愛ネタっぽい落としは無くない?とかはありますが、派手なヴィランだけが「わるもの」ではないという下りは好き。

「うわさ」は一転して怪獣総進撃ヴィラン・オールスターズのみなさま登場。なぜかオールスターで登場すると一人一人の戦闘力は低下するというお約束はまあおいといて。

タツノコプロみたいなルーモアのスーツはアレですが、社長のボディーガード君の目的意識が今ひとつ迫ってこないな。「社長を悪から守れず車椅子生活に追い込んだ」というだけでは。それこそボディーガードじゃなく息子にするとか、いっそ社長に惚れてた秘書のおねいちゃんとかにしてパワードスーツの力で戦っていたことにすれば、意外性とともにモチベーションとして刺さったかもしれない。ただ、それだと「事件の影に女あり」でリドラーの話とかぶってしまうなあ。

キャットウーマンが顔出ししてましたが、正体がセリーナ・カイルってバレてたんでしたっけ。

で、このエピソードとして「ザ・バットマン」としては事実上終わりと言っても過言じゃないのです。次回2部作と第5シーズンは、別の番組みたいになっちゃうと言うことで。