船橋のケーブルテレビで、地上アナログでは配信していたTVK。しかし地上デジタルでは配信されなくなり、ケーブルテレビ会社でも予定はないという。これはおそらく、区域外再送信の制限が影響しているといえましょう。

区域外再送信とは、読んで字のごとく、ほんらい電波送信される地域の外で、ケーブルテレビ局などで視聴を可能にすること。直接受信ではなく「再」送信というところがミソです。独立系UHF局、関東ではチバテレビ、TVK(テレビ神奈川)、テレ玉(テレビ埼玉)、群馬テレビ、とちぎテレビ、TOKYO MX。これらはほんらいはその名が示す地域で放送される放送局であり、県外でケーブルが配信すれば区域外再送信となります。

したがって船橋のケーブルテレビでTVKを配信することは、区域外再送信。アナログの時代にはおおらかだったこれが、地上デジタルになってから厳格に定義しようということになったようです。

もともと、放送法による免許制度であるテレビ放送は、区域をきちんと設定してあります。逆に言えば「その区域で放送されることを前提に免許を出している」のであり、区域外での視聴は想定していないとも解釈できます。

たとえば独立UHF系局では、同じ番組を放送していることが少なくないですが、チバテレビなら千葉のスポンサー、千葉県民がみることを想定したスポンサーがついていることがほとんどです。同じ番組をTVKでも放送していると、神奈川のスポンサーがつくでしょう。その番組を千葉県民がTVKでみてしまうと、チバテレビ側の同じ番組がみられない、スポンサーには提供のメリットがなくなります。ほんらい千葉県民に訴求すべき目的が果たせないわけです。これはまずいと。

しかしながら地上アナログならOKだったことが地上デジタルではダメだということに、疑問が持たれるのは不思議ではありません。テレビ局やケーブルテレビ会社でも、説明には苦慮しているとの話です。地上アナログが地上デジタルに変わるということは、著作権・肖像権などなど権利関係がより強まるらしい。アナログレコードがCDに代わったときに、業界がデジタルコピーに神経質になったのと近い感覚なのでしょうか。

なにげなく見ているテレビ番組、表現の規制だけでなく様々な制約があるのだと言うことが、地デジの時代には明るみに出るといえるかもしれません。