アップルは機構設計にコストをかける一方、使い続けることでコストを落としていくやり方だと。んなら、今までもそうだったんですか? ジョブス復帰以降、右肩上がりに株価を上げてきたんじゃ無いですか?
今回の株価「急落」が今までに無いことだったからみんな騒いでるんですよ。今までと違う事をしたから違う結果が出た、というのならまだ安心なんですよ。元のやり方に戻せばいい(とは限らないけど)。今まで通りのやり方を続けているのに、違う結果が出たから、みな「おや?」と思ってるわけで。
つまり「らしくないなあ」と思ってるんです。アップルにしては。そこで「いや数字で見るとアップルは好調なんですよ」とか言われても、煙に巻かれてる感が否めない。
株価が急落しているのは事実なんです。そこで「株価なんか気にせんでええ」的な発言は、ステークホルダーを何だと思ってるんでしょう。むしろアップルを応援してるから株を買う=投資する、と言う人だって多いでしょうに、そういう人らの忠誠心を楯にして正当化してない?
ファイナンシャル系の報道が、株価急落を大きく扱うのは当たり前。そこで擁護的な記事を書くのは、アップル以外の企業ではあまり見ない。それだけ魅力的な企業であると同時に、ひいきの引き倒し的な記事を書くライターには、むしろこっちが違和感を感じます。「アップルは好調なのに株価を取り上げて不調というのに違和感がある」とあなたたちが言うのと同じくらい、こちらも違和感があるの。
「株価なんて気にするな」と本気で思ってるんだとしたら、アップルが独創的で革新的であるのと同じくらい、独特な考え方をする企業なんですね、と言っておこう。
機構設計うんぬんで一時的に利益率が下がったから心配いらんとか、ビジネスの世界で通用する言い回しなんでしょうか。そういうのも含めて、投資の世界でいうなら「織り込み済み」で、その上でステークホルダーの期待に応えていくのが企業ってもんじゃないですか? 繰り返しになりますが、「なんだかアップルは今までと違う?」と疑問を持たれたからこそ、市場の失望感をかった、株価が落ちたと言うことでは無いのでしょうか。そこでことさらに違和感がどうとか言うのは、アップルのためにならない。自信があるのなら、「アップルの株価はこのあと上がる」 と明言してください。そしてそれが当たろうと外れようと、責任を取ってください。とまではいいません。そこまでライターに期待してませんから。
ジョブスが亡くなったときもそうだったなあ。「ジョブス亡き後、アップルは大丈夫なのか」という論調が出たときも、大丈夫だ、ジョブスの理念はアップルに根付いてる的な記事を書くライターは少なくなかった。それはそれで良いんだけど、ことさらに「ジョブスがいなくても大丈夫」を強調しすぎて、「じゃあジョブスはなんだったんだ?」というへそ曲がりな意見の一つも言いたくなったことがある。
「ジョブスを失ったことは大きい。残された者たちがこれをどう乗り切るかに注目したい」ぐらいのことを書いてくれれば、ジョブスの偉大さと共に、アップルの未来への期待をもてたと個人的には思うんですけどね。
それにしても久々に買ったMac Peopleはひどかった。読んでて寒々しい気持ちになった。創刊300号ということで、振り返り記事は楽しかったが、あとは読むに耐えなかった。読まなくてもアップル製品の良さや楽しさがスポイルされることは全くないので、読まなくて良い雑誌だった。
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