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佐野元春「VISITORS」、30周年記念版だそうだ。

30年前と言えば1984年。ここからさらに30年さかのぼれば1954年。1954年のミュージックシーンと1984年のそれとを比べてみれば、どれほど進化していたかは想像に難くない。翻って1984年と2014年のミュージックシーンを比較すると、どれだけ進化していると胸を張れるだろうか。

それほど、30年前のこのアルバムは古びていないし、今もって瑞々しく胸に響く。

まあ、バブルだなんだで金余りの時代だったし、このアルバムだけでなく当時はニューヨーク録音なんて珍しくもなかった。当地の超一流のミュージシャンを起用して録音された本作は、演奏のクオリティに於いてこんにちでも色あせない本物の輝きを持っている。

だが、何よりも特筆すべきは、そんな超一流のミュージシャンを向こうに回して、佐野元春の強力なアイデンティティ&オリジナリティは全く食われていない、負けていないということ。NYの超一流ミュージシャンたちが、佐野のイマジネーションを実体化するためにツールとして使われている感すらある。

そして何より詞だ。なまなかな文芸作品も裸足で逃げ出す深遠な言葉のタペストリーに今さらながら驚嘆する。「そばにいて」とか「眠れぬ夜」とか「いくつもの○○を超えて」ばかりのテンプレ歌詞に飽きた人は是非聴いてちょ。

驚いたのは30年を経てリマスタリングされたこのCDの音の良さ。最近の最新アルバムでさえこのレベルに到達している音質のCDはあるのか、はなはだ疑問だ。

佐野元春がこのアルバムを作ったのは、26~7歳の時だそうだ。ただ天才というのは不遜に過ぎるくらいインテリジェンスに満ちた、考えて作られたアルバムだと思う。