シアターサンモールで芝居見てきましたよ。

劇団BQMAP「蓮杖日記~カモンクロフネ ハイチーズ~」。日本に写真技術が到来した江戸末期の、初期の写真師・下岡蓮杖の物語。実在の人物です。

蓮杖とその幼なじみ達が、黒船到来、幕末と激動の時代にほんろうされる様を描きます。おなじみBQMAPの、時代とその挾間で消えゆく、けれども愛すべき人々をクローズアップする芝居です。

主演の栂村年宣さんが良かった! 10年前から見てますが、どんどん良くなってる。BQMAPの芝居全般に言えますが、さわやかで力強く、もの悲しくも暖かい。いやあ、いいもの見ました。BQの芝居にはまさしく「青春」を感じる。まあはっきりいってあまりお金のかかった舞台ではないけれど、いつも志の高さを感じるんだよねー。衣装のセンスも良いし、あからさまに「日本」を意識したものでもなく、さりとて「和」のテイストをきちんとおさえて、押しつけがましくもない。黒船で来港した異人さんがほとんど宇宙人か怪人のようだったけど(笑)、当時の日本人の目にはああいう風に見えたんだろうなあ。まさしくAlien。

まあ欲を言えば、全13話でやるようなシリーズ的ストーリーを2時間でやろうとしているので、急ぎ足のモノローグで語らなければならない部分があるのは仕方ないけど、「ここはきちんと芝居で見せた方が」というパートは確かにあったな。蓮杖とウィルソンとのからみとか。それと、なかなか写真師となる夢を叶えられずにいた蓮杖が、最終的に夢を叶える要素は、やはり蓮杖自身のドラマに絡んで欲しかった。幼なじみの弥助が攘夷派に身を投じ、ヒュースケンを殺したことが、(ウィルソンが日本を去る原因となり写真機と写真館を蓮杖に譲り)結果的に蓮杖を写真師にしたのだけど、もっと蓮杖自身を要素として含んでいた方が良いと思う。

ちりぢりになった幼なじみ達が蓮杖のファインダーに写るラストも、もっと彼ら自身が蓮杖のドラマに密接に絡まないと効果的じゃないし。

でも、最近見た芝居では、さかえさん的にはピカイチでした。芝居としてのできは、評論家的視点ならカムカムやナイロンの方が上かもしれないけど、BQMAPはいつも見ていて元気になるし、気分が良いんだよね。今年のカムカム、ナイロンは「ちょっと袋小路に入っちゃった?」と思わせる閉塞感があったけど(それが彼らの芝居のねらいであることも確かだけど)、BQMAPはど真ん中直球勝負でスカッとする。いいね。