意外と早く日本上陸を果たしたというのに、前作放送からずいぶん時間が空いたように思えるのはなんでだろう。

今まさに第1話を見終えて感想を書くさかえさんなのであった。

「あの名作の◎年後の物語」なんていうものにはアタリが少ないのが定説だが、はてさて。

まず、脚本が良くないなあ。とはいえそんなことは前作の無印ベン10でも当初おいらは言っていたので、引き続き見ることにはする。でもツカミがいまいちなのは減点エイリアンフォース(うまいこと言ったつもりになるさかえさん)。

とくにセリフがまずい。言わなくて良いことまで言わせているように思う。今作のキモは、マックスじいちゃん不在で闘わなければならないベンの成長だと思うのだけれど、それをセリフに起こすのはいかがなものか。セリフのまずさは日本語脚本の問題かも知れない。

キャラクターが5年分成長しているのはまあイイとして、ベンが思ったよりお調子者感を残していたのは良かった。相変わらず口も達者だが、ワルガキぽさが後退してそれなりに分別が身についているのは善し悪しだけど。グウェンもはねっかえりさんからレディっぽくなってきている。ただケビンとの最初の接触はいただけない。グウェン、ケビンとも先の展開を見越してのことだろうが、心情的な軟化が早すぎ。無印のグウェンなら「こんなやつ味方にするなんて!」と切れていたところ。ケビンも過去のいきさつを含めてグウェンに対する警戒心がまだあってしかるべきじゃないだろうか。展開上、早くこの3人を仲間にする必要があるのだろうが、「必要性」から起こすプロットはいいものじゃない。キャラの心情をもっと重要視しないと。

配管工部隊のうかつエイリアンさん(声がモジョ)のからみでも展開が甘い。「実は敵じゃなくて味方でしたパターン」なのだが、あの場合はうかつエイリアンさんが勝っている状況で真相(味方であること)がわかる展開にすべきだと思う。こまかいことだが。あのあと「俺は味方だから解放してくれ」の展開でてっきり「ひっかかったなフハハハハ」となるもんだと思っていた。この辺は脚本の書き方テキストですら教えているものですけどねえ。

空手なのか柔道なのかわからん珍妙武術のグウェンさん。アメリカアニメのキャラは動いたときに魅力を発揮するのは今作も例外ではありません。デザイン画だけ見たときはいまいちだったんだけどね。ベンもグウェンもアゴ四角。

グウェンのキャラクターはどちらかというと実写版に近い感じだな。

ジュリーさんは日系人らしいですよ。

テーマ音楽は無印のオーケストレーションバージョンだね。これはテレビスペシャルの時もそうだっけ? 無印のB級っぽさが好きだったんだけど、キャラクターの年齢アップにあわせようとしたのかな。

さて、今回べつなところでの印象。保志総一朗さんはもともとうまい声優さんではあるのだが、「15歳らしさ」と「ベンらしさ」の表現が素晴らしかった。前作をしっかり見てキャラクターをつかんでいないと、こうはいかない。この人は、海外アニメと海外ドラマの時にはうまい!と感じさせるのに、日本のアニメだとちょっと変なクセが気になっていたのだ。日米の音響監督さんの違いなのか、演出方法の違いなのかと思っていたのだが、ピンと来たことがひとつある。海外アニメ、ドラマともに、できあがったフィルムに対してアフレコしていくわけだが、日本のアニメの場合、残念ながらそんな恵まれた状況でのアフレコは少ないと聞く。つまりアフレコ時点でフィルムが仕上がっていることなどめったになく、原画撮りやコンテ撮り、ひどいときは紙に書いたマルをセリフのタイミングで撮影し、それに対してアフレコをつけていくという状況さえあるとか。こうなると芝居のタイミングなど正確につかめるはずもなく、師匠曰く(師匠って誰よ)セリフ頭のタイミング合わせのテクニックがクセとなって聞こえるらしいのだ。

これが当たっているなら、日本のアニメーション製作現場は、声優さんのパフォーマンスをじゅうぶんに引き出せる環境にはないということなのかもしれない。