アニメ!アニメ!数土氏が語る「海外市場壊滅の真相」

http://ascii.jp/elem/000/000/599/599433/

↑↑↑ 前編

http://ascii.jp/elem/000/000/602/602822/

↑↑↑ 後編

非常に興味深い記事でした。前・後編に分かれていますが、後編がおもしろい。

タイトルが示すように、かつてクールジャパンの筆頭としてジャパニメーションだなんだともてはやされた日本のアニメが、6~7年を経過して、すっかり国際競争力を失っているというお話。

興味深いところでは、「なぜアメリカのディズニーXDでナルトや遊戯王を流すのか」についても、無関係じゃないところ。ようは世界各国でアニメが製作されるようになり、フランスや韓国でも「日本ぽさで人気が出そうな」アニメを作れるようになってきたのだと。そして供給過剰が起こり、放送局側も差別化のためには日本の過去の人気作品を流すのが無難な選択となっている。

日本のディズニー系チャンネルで日本のアニメが増えてきているのは、この辺(本国の決定)が影響しているのかも、と思いました。

ただ、日本の最新の作品については、海外ではそもそも放送される機会自体が少なくなり、人気もあがらない。セーラームーンが未だに人気なのに、プリキュアは全然というのは、聞いたことがありますが、東映アニメーションがセーラームーンのリバイバル(今風にいうとリブート?)を世界展開しようとしてる、なんてのが驚き。もっと驚きは「爆丸バトルプローラーズ」がユニバーサルで映画化(^-^;)

日本のアニメのクオリティに比べれば、韓国や欧米の「日本風」アニメは、日本のファンや制作者にはパチモン臭いまがい物なんでしょうけど、世界のマーケットでは案外それが受け入れられているというのも面白い。ブリストル探検隊を見ていても気になるところなんだけど、世界のアニメファンからしてみれば、気にするほどのことじゃないのかも。記事中に料理にたとえた話も出てましたが、日本アニメのミシュラン垂涎クオリティじゃなくても、オレたちゃB級グルメでOKよ、ってとこかしら。

世界のアニメは3Dに移行しつつあり、2Dばかりの日本はますます不利になる、というのもよく言われていることですね。ただし、クレイアニメや人形アニメが廃れないように、2Dだから未来がないような極端な考えは不要な感じ。

そもそも日本のアニメ制作は、ほかの業界と比べても圧倒的に中小企業レベルの規模ばかりが林立しており、そこいらは「町工場だけど技術は世界随一」と似ていて、よく言えば商売抜きで仕事に打ち込む日本人気質、職人かたぎの典型のように思います。とはいえ中小ゆえに損してる面も少なくなくて、この記事にもあるように日本アニメの海外収益に悪影響を及ぼすのが「違法アップロード」で、本来なら「ビジネスとしての」法的対抗措置が必要なんだろうけど、いかんせん中小企業なのでその体力がないのが現実だと。海外だと「訴訟も商売のうち」で、弁護士天国なアメリカなんかが典型ですけど、やはり産業としてのスケールの小ささが、ジャパニメーションの「死因」だったと言えるかもしれません。日本にディズニーは無いんですな(ディズニージャパンのことを言っているのではない)。

韓国のサムソンが家電や自動車で世界的に台頭してきたのも、大企業の馬力というあたりでイメージできる。アニメ界にもそういう規模のビジネス展開がないと厳しいようです。日本だと日本アニメーション・東映アニメーションあたりが最大手ですかね。スケール的には物足りないか・・・

まあ、こういったビジネスがらみで話をすると、どうしても純粋なアニメファンから「金で魂を~」的な反発されるのも気持ワカランでもないんだけど、やはり産業として生き延びるには産業や企業としての大きさも不可欠だと思います。ガンダムが30年を経て今も輝きを失わないのは、個人的には「名作だから」というより「ガンプラが売れたから」じゃないかと思ってるんですよ。じゃないと30年もお金を出し続けるひと、まあ実名を出すのもアレだけど、バンで始まりダイで終わる名前の企業とか、売れなきゃサポートなんかしてくれないわけで。もちろんガンダムは名作だけど、「こういう名作を作っていれば、アニメ界は安泰なんだ」というのはもしかして勘違いかもしれない。もちろん、名作だから付随してプラモが売れた、といえるかもしれないけど、それだとその昔、ロボットアニメはオモチャの30分CM、といわれた頃とあまり変わらない。CMのクオリティがとんでもなく高かっただけなのかも、と思いました。

ジェームズ・キャメロンはすごいな、と唐突に書いてみます。映画界の名監督だけど、作りたいものを作るためには、資本と信頼を勝ち取らなきゃならないわけで、その両方を作品づくりで獲得してきたのだと。なにを持って「いい作品」とするかは掘り下げずに言いますが、「いい作品」でありつつ「金を稼げる作品」を作りながら、どんどんスケールアップしていく。タイタニックを作るのに必要な技術も予算も獲得した上で、それらを「表現したいこと」に向けていく。でも客が入る要素もきちんと作り込む。そうしてヒットさせて得たお金と信頼を、こんどは「アバター」に、それを表現するのに必要な技術と予算にまわす。作家ぶって小難しいメッセージ映画にすることもできるんだろうけど、いや実際どの映画もどこか宗教がかった深いメッセージが込められてるんだけど、ちゃんと客が入る映画にするんだから。

振り返って日本だと、宮崎駿監督・・・近いものはあるけれど、いや、客も入っているけれど、どこか内向きの情念で映画作ってるように感じるのはおいらだけでしょうか。いやこれは今回のテーマとは違うか。