2019年も間もなく終わり。今年の個人的トピックスといえば、白内障手術につきます。体にメスを入れるのはこれが初めてのこと。

とはいえ、20年ほど前に母が白内障手術をしており、僕は付き添いをしていたので、さほど心配するほどのこともないのは知っていました。

僕はもともと8歳頃からメガネをかけているベテランの強度近視でした。裸眼で視力検査すると0.01以下と診断されます。その上、ここ1〜2年で視力が急激に落ちており、コンタクトレンズ屋に「このままでは運転免許証の更新ができないかも」といわれました。矯正視力で0.7以上ないと免許更新ができないのです。

かかりつけの眼科にかかってみたら白内障との診断。コンタクトレンズの処方箋のために定期的にコンタクトレンズ屋併設の眼科にはかかっていたのですがそんなこと言われたこと無く、白内障と診断されたのはかかりつけの眼科でのこと。セカンドオピニオンって大事ですね。

白内障というと、普通は水晶体の外側から徐々に白く濁るものですが、僕の場合は水晶体の中心部の屈折率が強くなり、そのため近視が強くなっていたのです。強度近視の人ほどこの症状の白内障になりやすいらしく、本人は白内障の自覚が出にくいので、視力に問題があると感じたらメガネ屋よりもまず眼科にかかることを推奨します。

手術をすれば治るとお墨付きをもらったのと、先述の通り母が手術していたこともあり、実はあまり不安はありませんでした。

それにしても、20年前に比べて白内障手術も進化しているようで、母のときは片目ずつ1週間間隔をあけて両眼の手術をしたのですが、僕の場合は1日で両眼やりました。電車で病院に行って、手術してその日のうちに駅まで歩いて電車で帰りました。水晶体を人工レンズに入れ替えるのですが、メスを入れるのは2ミリ程度とのことで、よほどのことがなければそのまま見えます。

手術の準備に麻酔目薬や瞳孔を開く目薬をさしつつ3時間ぐらいかけ、その後の手術自体は両眼で10分程度。手術中は真っ暗な中に3点の光をじっと見ていてください、といわれました。見ている間に終わったのでメスが入った実感もなし。その光がはっきりくっきり見えるようになることで手術が上手くいっている実感がありました。あとは眼の奥の凝っている部分をぐりぐりマッサージされるような感覚でした。

人によっては術後に痛みや、異物感がゴロゴロする感じがあるそうですが、僕の場合は全く無し。手術中に執刀医の先生に「水晶体がガチガチに固まってますね」と言われました。僕の症状は相当悪かったみたいです。そして術後すぐの段階で、すでに視力が良くなっているのがわかりました。

僕の場合、人工レンズに単焦点レンズを選びました。多焦点レンズも選べますが値段が100万円クラス。医療保険が使えますが僕の場合は単焦点にしました。焦点を手元に合わせるか遠くに合わせるか手術の数週間前に選んでおく必要があります。焦点が合わないほうはメガネを使用する必要があり、僕は手元焦点にしたので、遠くを見るためにメガネが必要です。だいたい視力0.1ぐらいの軽度近視になるイメージです。

術後しばらくは花粉症のメガネみたいなゴーグルをして、ゴミやホコリから目を守る必要があります。1週間はクルマの運転や自転車もNG。運動もダメ、長時間下を向くのもダメ。しばらくは何種類もの目薬を1日6〜4回点眼します。僕は保護メガネを度付きと度無しの2つ作りました。保護メガネは数週間でお役御免になるのですが、お金がかかるとしてもその方が生活面でラクです。

さて、白内障手術によって、周囲の見え方が変わりました。まず裸眼でそこそこ見える。先述のように視力0.1くらいの軽度近視なので遠くはぼやけますが、手元ははっきりくっきり。読書やスマホは裸眼でバッチリです。保護メガネが役目を終えたときに普通のメガネを作り直しましたが、それまで強度近視のため牛乳ビンの底だったレンズが驚くほど薄くなりました。

なにより大きく変わったのが、色の見え方。これはほんとに戸惑うほどです。極彩色の世界です。具体的には緑と黄色がものすごく濃く鮮やかで、他の色と比べても目につくように。コンビニやスーパーでみるお菓子や洗剤のパッケージが見慣れた色合いと全然変わって見えるので、いつも買っている製品を「これだったっけ?」と見逃してしまいそうになるほどです。

くっきりはっきり見えるのはピントが合うだけで無く、解像度が上がって見えるようになりました。冗談抜きで、それまで地上アナログ波だったものが4Kハイビジョンになったかのようです。そのため逆に困ったのが、自宅が汚いのに気づいてしまったことww。細かいゴミやホコリがそこここに落ちているのが見えるようになってしまいました。自分ではこまめに掃除しているつもりだったのに、全然できていなかったのでした。たぶん今までも見えていたのですが、目につくようになったということなのでしょう。

つまりそれだけ白内障で眼にフィルターがかかっていたわけで、これが本当の色と解像度なんですね。視神経はそれほど衰えておらず、水晶体だけが老化していたと。

術後検診は、手術翌日、1週間後、1ヶ月後と間隔が空いていき、現在は3ヶ月に一度です。経過は順調、というか良すぎるといっていいそうです。術後のメガネあり視力は1.2くらい出ているらしく、かかりつけの眼科先生曰く、手術による回復度が極端に良いらしいです。ありがたい。

ものの見え方が、近視度数も色味も解像度も向上したことで、世界が変わったかのようです。手術して良かった。視力に不安のある方は、眼科にかかってみることをオススメします。そして白内障と診断されても、現在の医療技術では不安は少ないという事をお伝えしておきます。ちょっと弱気な言い回しなのは、他ならぬ眼科医から「白内障手術の技術は進んでいますが、軽く見すぎないように」と釘を刺されたからに過ぎません。