Mac PeopleとMac Fanの発売日。あまたあったMac専門定期刊行誌もいまやこの2つだけですよ。そして今回のMac World 2009の特集で、ずいぶんと寂しい誌面に。

アップル自身がMac Worldへの出展を今回で最後にすると発表し、その最後にはスティーブ・ジョブスも欠席という、イベント自体が寂しいモノだったのですが、実はこの「アップルのメディア離れ宣言」ともとれる状況こそが、重大なイベントだったのではと思ったのです。

昔っからどうも、アップル・Mac系のメディアや専門誌やWebの「鼻持ちならなさ」が気になっていた身としては、来るべき時が来たと言えるのですよ。

僕の身の回りのアップルファン、Macユーザはみな気持ちのいい人ばかりで、Macユーザであることを鼻にかけたり自慢したり、Windowsをバカにする人なんて一人もいなかった。一方で、メルセデス・ベンツに乗っている人が国産車乗りをバカにしたらすごく腹立たしいし恥ずかしいことだと思えるのに、Macメディアは平気でそんなことをしていた。そしてすべてのMacユーザがみなそうであるかのような書き方をしていたんじゃないか? なにかこう、実際のMacファンの姿と、Mac系メディアがあおるそれとは、決定的に乖離があるように僕は感じてきたのです。

そうこうしているうちに、Webの発達・充実とアップルストアの充実によって、アップル自身が「メディアを介さずとも」ユーザと密なコミュニケーションを結ぶことができてきたし、そこへいくと、Mac系メディアはアップルのカリスマ性プレミアム性と革新性、Macユーザの忠誠心やモチベーションに便乗することでしか存続できない体質になってしまっていなかったろうか。

というわけで、もうアップルはMac系メディアを必要としていないし、Macユーザもアップルと直にコミュニケートできれば、Macちょうちんの物書きなんぞ必要なくなってきたというわけです。それが「Mac Worldなんてもういらないもんね」に至ったのではないか。

Mac People、Mac Fanともに、新しく発売されたMacBook Pro 17インチの紹介記事において、Webで誰もが見たことのある写真以外は、Mac Worldで記者が撮影したであろう写真しか使われていなかったところに、アップルとユーザの双方から距離を置かれたMac系メディアのお寒い状況が見て取れたのは、うがった見方でしょうか。まさかアップルが商品紹介記事のための資料提供を拒んだということは無いでしょうが、何か今までの新製品紹介記事とは違うものを、うっすら感じてしまったのですよ。

いま、アップル、そのファン、そしてMec系メディアの互いの距離は、ものすごくとんがった二等辺三角形のごとく、距離に差がついてしまってはいないか。