テレビ朝日開局50周年特番のSMAP番組で見た「仮面ライダーG」。思いの外、ちゃんとした仮面ライダーになっていてびっくり。平成ライダーシリーズよりも、はるかにオリジナルに近いテイストで良かったです。稲垣吾郎キャラとかワインネタにかぶせた仕掛けはあくまで表面上のもの。改造人間の悲哀とか、バイクアクションとか火薬の使い方とか、往年のライダーファンにもアピールできるのでは。

ところで、さかえさんは実はSMAPが気に入っているのである。何がって、その男気に。

10年くらい前、やはり同じようにSMAPの歴史を振り返る特番があった。ご存じと思うが、SMAPはかつて6人グループであり、森且行がオートレーサーに転身するために脱退した経緯がある。だが、そのSMAPの歴史を振り返る再現VTRでは、最初から森はいなかったことにされているのである。これは定説となっているらしく、番組によってはデビュー当時のCDジャケットを映し出す際には、ご丁寧にも森の写真を消してしまうほどである。

これはジャニーズの意向なのか、あるいは好意的に解釈して、すでに「いちオートレーサー」である森の肖像権に配慮したのか、いずれにせよ、森は「最初からいなかった」という扱いにされているのである。

だが、その「5人の」再現VTRが明け、司会者にコメントを求められた中居正広の一言。

「まあ、ぼくらSMAPは6人でスタートした訳なんですけども、(この後、普通にコメントを続ける)」

これ以上、中居は森の存在を示唆する言葉を発することはなかった。それは番組に対する配慮であり、それでも中居は、森を「無かったこと」にする仕打ちに小さな抵抗を試みたのであろう。その気骨に、さかえさんは感服したのである。

で、今回の50周年記念特番においても、森の存在は無かったことになっていた。ジャニーズJr.による再現VTRにおいても、SMAPは最初から5人であったことにしてある。さすがに「当時のVTR」においては森の存在は隠しようもないが、そのことについてふれるものは誰もいない。

はずであった。

かつて、視聴者参加番組において、素人の学生チームと騎馬戦で対決したSMAPの、興奮したあげくクサナギツヨシが学生に蹴りを入れてしまった、そんなヤンチャエピソードを紹介したときのこと。突如、木村拓哉が言った。

「今のVTRではカットされていたけど、森の蹴りもすごかったよね」

一瞬、スタジオに変な空気が流れそうになった気がしたのは、さかえさんの錯覚だろうか。

だが、木村拓哉は一枚上手だった。間髪を置かず、

「そんな森クンも、ついにG1初制覇です。おめでとう!」

これには他のメンバーも含む、スタッフ、スタジオ一同、拍手で答える。つまり森且行のG1初制覇の祝賀ムードで、場の空気が凍りかねない「禁断のコメント」を吹っ飛ばしてしまったのだ。

これは木村拓哉の周到な計算に違いないとさかえさんは思っている。おそらく森のG1制覇がなければ、彼がこの特番で森について触れることは無かったであろう。この祝賀ムードで流してしまえると踏んだからこそ、彼はかねてから「森且行はいなかったことになっている」状況に反旗を翻したのだ。

木村拓哉もまた、数年前の中居と同じく、かつての盟友である森への想いを忘れずにいる、そして反骨精神とともにそれを大事に胸に秘めている、男気のある男だと思った。何より、森の近況を把握していることが、彼の、彼らの友情の証ではないだろうか。

いつか「ビストロSMAP」に、オートレーサー森且行が訪れる。そんな日が来るのではないだろうか、そう思った。