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下北沢・本多劇場にて、ナイロン100℃公演「神様とその他の変種」観劇。

いやあ、面白かった。前回のシャープさんフラットさんは、ちょっとナイロン不振かな、と思える部分も多々あったんだけど、今回はすごくよくできていて、じんわり効いたな。

出演者数もそんなに多くなく、人間関係がコンパクトに整理されつつ、お互いの関係性が複雑で、かつ一人一人の心情が深い闇を抱えていて、わかりやすくも考えさせられる舞台でした。

客演の山崎一さんがとてつもなくうまくて、舞台を引き締めていた。水野美紀さんもシャープで力強くかつ可憐で良かった。山内圭哉さんのメリハリの効いた芝居はピリッとスパイシー。もちろん犬山イヌコさん、みのすけさん、大倉孝二さん、峯村リエさんといったナイロン陣もキレててイイ! 今回も廣川三憲さんがオイシイぞ。

芝居というものは、心情を演技で表面化するのではなく、観る者の心の中にある音叉を共鳴させることで心情を伝えるのだと思った。感情を殺したようなみのすけの演技が、逆に痛々しい少年の心情をあらわしていたというから(他人事か)。

我が子を溺愛するが故に、その子を苦しめるものは皆殺しにしようとする母親。ところが実は父親の差し金もあって、実は誰も死んではいなかった。だからといって何も問題はないかと思えば、どんどん問題は深まっていって・・・

愛ゆえに愚かであり続ける小人物たちの赦しの物語。ナイロンらしくどこにも救いはないのだけれど、なぜか心がじわっとあったかくなる。幸せだけが幸せじゃないのだよ。オフビートでドライなようでいて、実はケラリーノ・サンドロビッチの人間好きがかいま見える良い舞台でした。

3時間に及ぶ公演もあっという間。