秋の観劇そのいち。全労済スペースゼロにて観てまいりました「ソウガ」。

きだつよしさんの演出は久しぶり。アクションものが得意で、最近ではヒーローショーの演出も手がけるきださんですが、実はアクションの陰にキラリと人間ドラマを書き込む作家さんなのだ。

若い役者さんが多いせいか、そんな芝居がうまいっってほどじゃないんですが、熱気あふれる演技がすがすがしかったです。生の舞台に完璧な芝居を求めるのがどうだろうと思うたちなのでおいらは。生のパワーってそんなことじゃないでしょ。

出だしは台詞の通りも悪いし、これはいまいちかなと思いきや、うまい役者さんでも台詞が抜けてこないので、劇場の音響に問題があるのかもしれない。舞台のあるポイントに役者が立つととつぜん台詞が通るので、構造上の問題か、美術が影響しているのか。

しかし話が進むにつれて、芝居もこなれて見やすくなってきたので、みなさんエンジンのかかりが遅かっただけかも。

ストーリーも出だしはどうも引き込まれなかったのだけど、中盤からぐいぐいおもしろくなっていきました。特に暗黒面に引き込まれていく主役のツムギが魅力的。魔王と呼ばれた男ゲンシュウの凄みと風格は若さに似合わぬ存在感、そしていい味出しているデンベエがすばらしかった。

エピローグはドラマがすばらしくてホント良かったのですが、もうちょっと演出面で工夫がほしかったかな。見せ場なのだから。それこそ花吹雪を散らせるくらいケレン味があってもいい。出だしの盛り上げ不足とあわせて惜しい点でありまする。再演があるならば、プロローグ部をもっと整理してスピーディーに展開して、エピローグはぐっと引きつける演出にしてほしい。

さて、この舞台も一筋縄でいかない仕掛けがあるのだけれど、それはまた後日。