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というわけで聴いた。これはスゲエ! 鳥肌ものだった。

ブラッド・メルドーなるピアニストは、ときに「こんなのジャズじゃねえ」と言われる革新性で現代ジャズシーンを牽引してきた、超絶技巧ミュージシャンなのだが、おいら的には「◎◎は☆☆じゃなければならない」という考え方自体がジャズ的でないと考えるので、その意味ではジャズらしいジャズである。今日においては、デイブ・ダグラスとならぶ最先端ジャズ・マイスターであると思う。

久々に盟友ジョシュア・レッドマンをフロントに呼んだ今作は、名盤「Largo」以来のジョン・ブライオン・プロデュース作品であり、管弦楽とオーケストラを取り入れつつも、ジョシュアのサキソフォンとブラッド・メルドー・トリオを軸とした濃密なアンサンブルを紡いでいる。

ブラッド・メルドーと言う人は、これはおいらの邪推だが、自分探しなどに興味のない人物に思える。あくまで外に向かって拡大していく自己研鑽型ミュージシャンのイメージなのだ。なんだかサムライ的な感じすらする。

あまり2ちゃんねる的いいまわしを好まないおいらであるが、このアルバムは神だと言ってしまうかも知れない。たとえば神に近づいたジャズミュージシャンとしては、エリック・ドルフィーが上げられる(ゆえに夭折したとも言われる)。また、神になれると信じて切磋琢磨したが、どちらかといえば太陽に近づきすぎたイカロスのようでもあった天才ジョン・コルトレーンか。マイルス・デイビスは、天才中の天才だが、あくまでも人間であり続けたと思う。そんな歴史上の巨人たちと比較しても、メルドーは近いところに来ているように感じた。ちょっと尖りすぎかな?と思えた部分もずいぶん影を潜め、なのに鈍った感じは全くうけない。

メルドーは好きだが、ベストパフォーマンスは彼自身のアルバムよりもむしろジョシュア・レッドマンのアルバム「Mood Swing」だった時期もあったけど、「Day Is Done」や「House On Hill」あたりから、加速的に進化し続けてもはや作・編曲の腕前も含めて、文句なしに「今世紀最高」と言いたい現代の巨人である。