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「YENトリックス」につづく笹路や土方のソロアルバムは、次なるマライアの2ndのショウケースになるのであろう、と誰もが思った1980年。マライア・プロジェクトは積極的な活動を展開し、意外なところでは、清水は自身とマライアの名義で、「鉄人28号」(太陽の使者バージョン)のサウンドトラックを手がけています。清水はのちの自身のアルバムに「Secret Squirrel」と「Morocco Mole」なる連作の曲を収録していますが(アルバム「Time and Again」)、意外とアニメ好きだったりして。また、笹路も「超力ロボ ガラット」などアニメサントラを手がけています。

で、満を持しての「アウシュビッツ・ドリーム」。何とも刺激的なタイトルですが、これまた「YENトリックス」の路線を期待していたリスナーの、またもや斜め上をいく怪作にして快作だったのです。

「YEN~」はまだポップだったとさえ思える、イントロからの教会音楽風味のコーラス、そして変拍子!現在ではプログレッシブ・ロックの名盤にくわえておくべきとさえ言われる、ポップだけど難解、そして毒っ気当社比300倍増し!

2011年の現在、改めて聴くと、「YEN~」はボーカルがへなちょこだし、時代を感じさせる音の甘さがあったけど、「アウシュビッツ~」は逆にへなちょこボーカルが味になっているし、雰囲気に合っている。そして音の方もどっしりと据わりが良く、安定性を増していて気持ちいい。そりゃあ、のちのヘビーメタルやデスメタルの時代に比べれば、軽くてポップとも思えるけど、これを1981年に作っていたことは、どう考えてもスゴイ!

興味のある人は詞の世界観も味わってみて欲しい。

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本格プログレとなった2ndに続いての3rdは、一転してオルタナともニューウェイブともつかぬ、いや唯我独尊のマライア・ミュージックとも言うべき、これまた怪作なのでした。なのに麻薬性のあるポップさは異常。ちなみにジャケットの東京都をかたどる白い粉は、マリ○ァナをイメージさせるナニカだということです。やっぱあぶねー、こいつら

この頃、清水、笹路は高水”大仏”健司(ベース)とともに渡辺香津美(ギター)率いるグループ、その名もKAZUMI BANDでも活躍しており、ジャズ・フュージョンから隔絶していたわけではないところも見せています。KAZUMI BANDのアルバム「ガネシア」は、さかえさんの生涯ベスト10には必ず入るだろうジャズ・フュージョンの名盤。

また同じ頃、マライア・プロジェクトは次々と新たなるポップスの実験を繰り広げていました。今では女優として知られる秋本奈緒美、彼女が18歳でジャズ・シンガーとしてデビューしていたことをご存じでしょうか。そう、秋本の1stアルバムは清水、2ndは笹路のプロデュースによるもので、ジャズのスタンダードを(当時の)最先端サウンドでリ・アレンジするというもの。それを18歳のアイドル・シンガーで出すというのだから、誰も想像だにしなかったプロジェクトに度肝ですよ。この路線は他に2~3人の若い女の子をデビューさせて、そこそこはヒットしていた記憶があります。

80年代前半のマライア・プロジェクトには、当時ほんとに目が離せなかった。そしてそれはやがて、あまりに世俗と乖離しすぎた清水靖晃の実験性・独創性によって、迷走ともいえる最後を迎えるのです。