ネロ

電子探偵団団長。日々、マコトたちの謎解き能力を鍛えている。

↑↑↑ こういう人が登場するわけではありません。チャット上で顔が見えないので、正体がわからない、ということです。では、ネロの正体は?

以下には壮絶なネタバレがあります。原作未読の方は、読んでから見てください。でないと大ケガしますので要注意。さかえさんは責任とらへんど

野沢レイ(のざわ・れい)

双子座 AB型
喫茶店「ベーカー街」を経営。元コンピュータエンジニア
年齢:不明。30歳くらい

以下、個人的解釈が混じるので、話半分で読むと約束してね

電子塾および電子探偵団のシステム設計者。電子探偵団団長「ネロ」は彼女のハンドルネーム。古今東西のミステリーに精通し、自身も探偵として通用するずばぬけた推理力を持つ。マリンブルーのワンピースに身を包む絶世の美女。

「ネロ」の由来は、「NOzawa REi=NOREのアナグラム」「レックス・スタウトの『毒蛇』などネロ・ウルフ・シリーズ由来」「フランダースの犬のファンで、ネロ少年の悲劇が心に焼き付いている」など、複数ある。余談だがネロ・ウルフはシャーロック・ホームズに由来するネーミングである(母音の並びが同じ一種のアナグラム)。

学生時代の先輩・今泉純が経営者として立ち上げた電子塾のシステムを設計した。その際、塾生の息抜きと、謎解きの頭脳を鍛えることが真の知性・教養をはぐくむとの持論から、電子探偵団を立ち上げた。現在は電子塾のメンテナンスを委託されているにとどまり、経営にはタッチしていない。風浜駅前メインストリート「七つ星通り」、「本格的英国流紅茶が楽しめる喫茶店」のふれこみの「ベーカー街」オーナー兼マスターが本業。

以前はコンピュータエンジニアとして活躍し、ゲームソフトから業務システムまで手がける。かつて業界を震撼させた悪質ウィルス「ペスト」が流行したとき、持ち前の正義感から、たったひとりで三日三晩徹夜し、駆除ソフト「ジャンヌ・ダルク」を開発した伝説を持つ。

◆悲恋

26歳当時、シリコンバレーの大手ソフトウェア会社「ゾディアック」社に在籍。NASAの依頼による極秘プロジェクト「宇宙空間における地球生命探索プログラム」を手がける。その際のプロジェクトチーム、トーマス・ホワイト(アメリカ)、李大龍(リー・タイロン、香港)との強い信頼関係から、互いをコードネーム「チャーリー(トーマス)」、「アラン(李大龍)」、「サブリナ(レイ)」で呼び合った。

レイはやがてアランと恋に落ち、アランはプロポーズするが、レイは答えを逡巡し、翌日にのばしてしまった。が、翌日、アランは乗用車の暴走で、事故死してしまう・・・

失意のレイはエンジニアをやめ、風浜に戻り喫茶店を開いた。電子塾は最後の仕事だったのだ。

その後、アランの事故は、実は彼の弟、李子龍(リー・ツーロン、通称レオン)によって仕組まれたものであったと判明する。レオンは兄を殺すつもりまではなかったが、思いの外、大事故になってしまったのだ。レオンは自身が李王朝の末裔であるという妄執にとらわれ、「伯爵」とよばれる野望の英国紳士の謀略に利用されていた。レオンは兄のエンジニアリングの能力を、おのが野望に必要としていたが、断られたため報復したのだ。

香港においてレイはレオンとの決着をつけた。だが、伯爵の野望はとどまらず、ロンドンにおいてレイは伯爵に、かつてアランが残したパスワードを破る依頼を受ける。断ればレイの身がどうなるかはともかく、アイザック・ホームズ少年がとらわれの身である以上、レイは受けざるをえない。

伯爵の野望とは、アーサー王を復活させ、世界を征服するという、これまた荒唐無稽な妄執だった。アランが残したパスワード付きのファイル、それこそがアランの「DNA解析プログラム」、極秘プロジェクトの最中に開発したというそれと伯爵はにらんでいた。伯爵が保管するアーサー王のミイラ、そこからDNAを採取し、プログラムにより再生させる! 真アーサー王を象徴として王国を作り、世界を手に入れようというのだ。

だがレイは電子探偵団のメンバーや、脱出したアイザック、そしてさまざまな手助けを得て、伯爵を退けた。かくしてレオンの李王朝復活、伯爵のアーサー王復活は、ともに幻と消えたのである。

レイはアランの遺言とも言えるパスワードの解析に取り組む。それは容易ではなかったが、マコトの一言がヒントとなり、二人の思い出であるマザーグースにまつわる言葉、それこそがパスワードであると見抜いた。だがアランの極秘ファイル、それは禁断のプログラムなどではなかった。レイのためのエンゲージリング、レイへの想いをつづったそのデザイン画だったのだ。レイは人目もはばからず慟哭した。

傷ついたレイをいやすべく、アイザックや電子探偵団や多くの人々の善意により、レイはヨーロッパを、京都を訪れる。だが、どこへ行ってもレイは事件に巻き込まれ、探偵の宿命にさいなまれるのだ。

◆失踪、そして復活

傷心をいやすためパリに向かう途中、アントワープでひったくりに遭い、その際の転倒で記憶を失う。宝石商にして「最後の独身貴族」とよばれる若き資産家、ジルベール・ロカンタンに保護されたレイは「サヨコ」とよばれ、パズル好きのジルベールの知的好奇心を刺激したことで、ジルベールはサヨコ=レイと結婚を決意する。

その間、レイは失踪扱いを受け、借家のベーカー街は家賃滞納により取り上げられ、電子探偵団のメンバーはショックを受ける。中学生となっていた彼らは、飛鳥のがんばりにより独自の電子探偵団ウェブサイトを立ち上げるが、オフの拠点であるベーカー街を、そして慕っているレイを失ってしまう。

ジルベールはレイの記憶の断片にある風浜の地で仮の結婚式を挙げようとするが、電子探偵団、そしてアイザックの活躍によりレイは記憶を取り戻す。ジルベールはマコトたちとレイとの絆の強さを見せつけられ、身を引いた。

今泉塾長の尽力により、新たなベーカー街の候補地が決められた。オーナーの意向でパズル対決をする必要があったが、マコトたちの活躍で見事勝利、紆余曲折を経てベーカー街は復活したのである。

ベーカー街のカウンターに、マリンブルーのワンピースに身を包み、何事もなかったようにレイの笑顔。

うわー、もうここで最終回でも良いくらいだ

◆少女期

野沢家の一人娘。幼少時は藤堂市に住み、若宮小学校に通っていた。ダイの先輩にあたる。

少女期には京都において、親友・ちづるの神かくし事件にまきこまれる。実は息苦しく古いしきたりの旧家に引き取られたちづるが、かつてちづるを置いて家を出た父親とともに逃走するための狂言事件だったのだが、レイはあえてちづるが望んだ父親との逃走を助けるため、だまされたふりをした。ちづるの使ったトリックは90%まで読み解いたレイだったが、ただひとつ現在に至るまで不明だった最後のトリックを、マコトが見事に解明したことで、マコトの推理能力が自分を超えつつあることを悟る。なお、このエピソードが、母親問題で悩むまどかの救いになった。

中学2年で野沢家は風浜市に一軒家を購入し、転居する。中高一貫校・天の川学園時代は「現代アート研究会」に所属し、現・電子塾塾長の今泉純、部員の森下のぞみ、古木慎吾と出会う。この時代のエピソードは、「レイの青春事件簿シリーズ」にくわしい。レイ自身のプロフィールについては本作においても記されているが、未読なので・・・(読んでから書き足すかも知れません)

高校時代は一人暮らしをしていた。大手銀行に勤める父親が香港勤務になったが、天の川学園に通い続けることがベストとの判断でレイだけが残ったのだ。

大学時代は映画研究会に所属していた。詳細なエピソードは今のところ無い。

森下のぞみと古木慎吾は後に結婚し、京都住まいとなった。レイが京都を訪れるたび、二人の世話になっている。

◆雑記

ネロとして振る舞うときは、演劇的な身振りに、男性的言葉づかいになる。二重人格というわけではなく、本人が使い分けを楽しんでいるようだ。

落ち着いた大人のたたずまいを見せる一方、好奇心旺盛で、負けず嫌いな部分もあり、興味を引くことには少女のように反応することがある。マジックが好きなことから、希代のイリュージョニスト、アレクサンドル・コーンフィールドの公演があると聞き、子供のように目を輝かせていた。また、時折見せる「すきのある」感じに、完璧人間ではない血の通った印象を受ける。

その美貌から、言い寄る男性は何人かいたが、アランの影を引きずっているためか、受け入れることはない。今はむしろ電子探偵団の成長を見守ることが楽しいのだろう。

マコトたちの幼い恋愛模様を、やさしく見守っている。だが、口出しをすることはない。マコトとまどかのデートをからかったりしていたが、マコトとみずきの想いには早くから気づいていたようだ。

いわく、自慢の紅茶の味は、海東物産の輸入茶葉でなければ出せない。ちなみにベーカー街ではコーヒーもまた味にこだわり、使うのは「グロリア・スコット商会」のコーヒー豆と決めている。後にこのグロリア・スコット商会という会社そのものが、岩見沢玄二という紳士が、レイにプロポーズするためだけに設立したことが発覚する。結局、レイは岩見沢の求婚に応えることはなかった。電子探偵団の成長がその一因であることは否定できない。

料理の腕は当然、プロ級。得意料理はビーフシチューで、ダイの大好物である。

本編のタイトルに名前が登場したキャラクターは、レイとアイザック(ホームズ4世)のみである。

シリーズ第一作「パスワードは、ひ・み・つ」の第1稿の段階では、野沢レイという人物は存在していなかった(第13巻作者あとがきより)。