パスワードシリーズ、レイの青春事件簿シリーズには、実に多くの脇キャラが登場し、それぞれが生き生きと活躍します。ここではそのほんの一部、個人的に印象的だった人々を紹介してみましょう。ほかにも海外編の登場人物や、「猫耳探偵まどか」のキャラクターもいますので、それはまた後日続けます。

思いついた順なのでバラバラです。


野原たまみ(のはら・たまみ)

マコトたちと同学年の小学生芸能アイドル。通称「ノハラ」。ルックスは正当派美少女だが、羽のついた帽子などハジケたファッション、「ぱほぱほ~ん」「~だど」など、珍妙な言葉使いと元気さで人気。小学5年生時にスカウトされた。
奥に潜む内面は普通の少女で、キャラと自身のギャップで落ち込むこともある。
ある事件がきっかけで電子探偵団と仲良くなり、特に飛鳥には想いを寄せている。
篠原ともえがモデルのようだが、しゃべり方は水森亜土だそうだ。


今泉純(いまいずみ・じゅん)

電子塾の経営者。レイの中・高時代、部活の先輩(部長)だった。レイの2学年上。
レイとは天の川学園高一の時に出会い、自ら部長を務める「現代アート研究会」で共に活動した。アートについての知識・造詣は非常に深くかつ多岐にわたり、レイをして「歩く百科事典」といわしめる。
ややスノッブなところはあるが、ひょうひょうとして大らか。いっぽうで、個性派ぞろいの現ア研メンバーをしっかりまとめる牽引力の持ち主。俗っぽい文化を嫌うが、意外と他人の影響を受けやすい。ストリートミュージシャン小川葉に恋した際は、ビートルズかぶれになった。
現在は高校時のトンガリ具合はなりを潜めたが、鷹揚な性格は相変わらず。電子探偵団を認めており、レイ不在時にベーカー街を再建する際には、インテリアや店づくりを電子探偵団に監修させた。
マコトの母親には「イケメン塾長」として認識されている。


内山太一(うちやま・たいち)

県警森崎署勤務の刑事。のちに警部補に昇進するが、その功績にはほぼ電子探偵団の存在が影響している。
風浜市最大の繁華街・森崎町が管轄。ラ=メール洋菓子店やベーカー街も域内で、犯罪もそれなりに多く、多忙な日々を送る。
柔道部出身で屈強な肉体を持ち、典型的な「曲がったことが大嫌い」な正義漢である。
レイの1学年上。県立白岡高校2年の頃、天の川学園1年のレイと出会っており、それ以来の知り合いである。レイの推理力には敬服しており、ときに捜査の協力を願い出ることもある。電子探偵団の実力も知っており、「うちの石頭上司よりあてになる」と信頼を寄せている。


桜木竜子(さくらぎ・りゅうこ)

不良の巣窟として風浜に名高い聖バルタン女学院中学のスケ番。合気道有段者であり、「竜巻お竜」の異名を持つ。マコトの3学年上。
マコトが一人で店番の時、ラ=メール洋菓子店にインネンをつけ、ただ食いしようとしたが、マコトが「父親が作った大事な商品だ」と(ビビリながら)拒絶したことで、マコトを気に入った模様。以来、マコトを「マー坊」と呼び可愛がる。自身に降りかかった様々なトラブルを解決したマコトの推理力には敬服している。マコトの本命がみずきであることを知っており、二人をちょくちょくからかっているが、当のみずきは竜子と仲のよいマコトに気が気でない。
ケンカは滅法強く、何度かマコトたちの危機を救った。
秘鳥赤心流なる合気道は父親譲りだが、その父はすでに亡い。
対立していた風浜工業高校の番長・草間健太郎と、一転して一時つきあっていたが、竜子曰く中学卒業時に別れた。現在はラ=メール洋菓子店で勤務中のジンさん(明神仁)とつきあっており、二人で海水浴にでかけ(て不良に絡まれ大立ち回りす)るほどの親密度。竜子の一目惚れのようだ。
中学時代はセーラー服にスケ番仕様の長いスカート、チリチリヘアを赤いリボンでポニーテールにしていたが、風浜女学館高校に入学後はチェックのベストにミニスカートの制服、紺ハイソックスにローファー履き、ベリーショートの金髪にイメチェン。教師に怖れられながらもちゃんと通学している。怖いイメージだが、涼しげな美少女であり、長身でスタイルもいい。マコトがつい「きれいだ」とつぶやいたことも、マコトを気に入った要因らしい。声はややハスキー。
マコトの女難の根源といえる。


明神仁(みょうじん・ひとし)

ラ=メール洋菓子店勤務。中学生編にて登場、通称ジンさん。
彼の登場で、マコトは長年の懸案だった「店番」から解放された。
大学の文学部を卒業してからケーキ職人となった変わり種。マコトの父の元職場である「カフェ・ド・カスピアン」で2年修行後、自らラ=メール洋菓子店で働きたいと申し出た。
並ならぬ推理力を持ち、マコトはおろかレイさえも舌を巻く。多方面に広い知識と教養を見せ、ときとして哲学的な発言をすることから、マコトは「哲学パティシエ」と名付けた。
マコトにとっては兄のような存在となる。
ひょうひょうとしてつかみどころがなく、不良に絡まれても口八丁で煙に巻くセリフをはくあたり、度胸も据わっている。見た目はのっぺりした「ひな人形」で、感情を露わにすることもない。謎の多い人物。
年齢不詳だがおそらく20代前半。竜子とは年の差カップル。


海東千吉(かいとう・せんきち)

海東物産会長。父・海東千造が立ち上げた輸入商社・海東物産をさらに発展させた人物。父親がシャーロック・ホームズと友人であったことで、ホームズ家と交流がある。
ラ=メール洋菓子店の上客であり、マコトも海東家へは配達で何度か訪れている。アイザックとの出会いも海東家だった。
跡継ぎとなるはずだった息子・千太は、ジャズ歌手・北村美波と駆け落ち、その後事故死した。千太と美波の間に娘・千波がおり、息子の駆け落ちが許せなかった千吉も孫はかわいいらしい。千太の死後、態度を軟化させ美波親子を引き取ろうと申し出るが、美波はこれを拒否した。
気むずかしく口うるさい「カミナリおやじ」だが、根は心優しく寂しがりやである。
元々船乗りで、船を操縦するときは機嫌がいい。
まどかがオーストラリアから帰国した際、ホームステイ先として受け入れた。


北村千波(きたむら・ちなみ)

海東千太・北村美波の間に生まれた一人娘。マコトたちと同学年。父親を早くになくし女手一つで育てられたが、最近母親が若きシェフ・早川とつきあっていると思いこみ(のちに誤解とわかる)、プチグレ中。ストレートのロングヘアをオレンジ色に染めているが、それをのぞくと、まどかにうりふたつ。海東物産を巡る事件において、まどかが千波に間違われて誘拐された(まどか2回目の誘拐)。
まどか同様、動物好きだが、どちらかというと水族館系が好き。
中学生編では、イタリアンレストランで働いていた母が出世しイタリア本国勤務となり、母親とともに渡欧した。


風祭(かざまつり)

まどか関連のエピソード「天使の館事件」で登場した老紳士。自宅の向かいにできた老人専門のマンション「風浜シルバーレジデンス」にまつわる、心あたたまるエピソードの主人公。海東千吉とは小学校の同級生だった。


一条京香(いちじょう・きょうか)

聖バルタン女学院中学で竜子の同級生。スカートが長い以外はとりたててスケ番然とはしていないが、竜子とは親友でライバルらしい。
名は体を表す日本的美少女。超ロングのストレートな黒髪は日本人形のよう。なぎなたの名手かつ「朧心影流体術」の継承者で、竜子と対抗できる強さを持つ。高校へは進まず、道場を継いだ。道場は葉村市にあり、みずきは陸上部退部後にその門をたたいた。
あまり表情を表に出さず、物静かに見えるが、口を開くと「ズタボロにしてさしあげますことよ」など、意外に物騒なセリフをはく。
まどかが一目惚れした。


田中一茶(たなか・いっさ)

レイの知人で、紅茶博士の異名をとる。文字通り紅茶や茶葉に詳しく、ベーカー街オープン時にもレイに紅茶について伝授し、レイからはときおり先生とよばれている(ふだんは「一茶くん」)。
マコトたちが小6時点で大学院生(推定24~5歳)。長髪を後ろで束ね、あごひげを蓄えた風貌はヤギのようだといわれる。まどかが一目惚れした(これ何回も出ますから)。
鹿児島県出身。バイク乗り。旅人体質。
フレンドリーな性格で電子探偵団ともすぐに打ち解けた。レイの信頼を得ているようで、レイ不在時にベーカー街をあずかったこともある。ばかりか、電子捜査会議チャットにも、レイになりすまして参加したことがあった。多少はパズルに造詣がある。
レイがパリを訪れた際に同行したことがあり、そこで巻き込まれたアルヌール家の事件をきっかけに知り合ったメイドのフランス娘アガート・デュレと恋に落ち、後に婚約した。アガートもまた紅茶に対する知識がハンパ無く広い。
余談ですがこのアガートさんが超萌えでさかえさん一押し。おれってメイド萌えだったっけと思った。たどたどしい日本語に思わずタっちゃいましたよ。いや鳥肌が。


小田切十六夜(おだぎり・いざよい)

みずきの祖母。みずきの母方は忍者の家系であり、十六夜は忍者名で、本名は不明。ちなみにみずきの母・陽子は「陽炎」、みずきは「蛍火」、みずきに女の子が生まれた場合は「夕霧」。先々まで名前が決まっているらしい。
みずきの父と駆け落ちした母をしばらく泳がせていたが、小田切家の危機に際し、みずきを後継者として謎解きに参加させようとする。結果、マコトの尽力により謎は解け、危機を脱した。
十六夜のかつての想い人「左衛門佐(さえもんのすけ)」とマコトはうりふたつらしい。


流川幻水(ながれかわ・げんすい)

「レイの青春事件簿」にて初登場、長い時間を経て、パスワードシリーズ本編に合流した、謎の人物。
「青春~」編で50代とみられており、現代では60~70代ということになるが、そうとは思えぬ妖しい精気に満ちており、不気味な男。
レイの母校・天の川学園はもとは戦国武将・流川家の「縄手城」城趾であり、幻水は天の川学園を憎んでいる。レイが高校の頃から様々な事件にて暗躍しており、その目的は天の川学園への復讐、そして今も学園内に眠る隠し財宝にある。レイは幻水に財宝探しに誘われており、拒絶するも、心の底では、運命にあらがえないかもしれないと感じている。


森下のぞみ(もりした・のぞみ)

レイの天の川学園時代の一年先輩で、現代アート研究会の同僚。
ショートカット黒髪で荒っぽい口の効き方、ボーイッシュで姉御肌。後輩の古木慎吾とは漫才じみたコンビで、慎吾の軽口にのぞみのプロレス技で応酬というパターンが毎度繰り返される。
現ア研では、独自の言語感覚にもとづく自由律詩に定評がある。
その実はとても心優しく、子供好き。あるエピソードで、身よりのない子供たちの保育園を訪ね、その時の印象からか、後に保母となる。
やがて、慎吾と結婚し、京都に住まう。レイが京都を訪れる際に交流がある。


古木慎吾(ふるき・しんご)

レイの天の川学園時代の一年後輩で、現代アート研究会の同僚。
先輩を先輩と思わぬ軽口をたたいてはのぞみにシメられるが、基本的には礼儀正しくまじめな性格である。のぞみを「のぞみ姉」とよぶ。
あまり怒りを表に出すキャラクターではないが、のぞみを侮辱されたときは本気で怒りを露わにした。
音楽に造詣があり、キーボードを多少弾ける。ビートルズのコピーバンド結成の際は中核となった。
数年後、新聞記者となった彼は京都支局転勤を機にのぞみにプロポーズした。


阿部薫子(あべ・かおるこ)

北海道夕月市市長。まだ30代の若さだが、同市議会議員だった父親の地盤を継いで議員となり、数年後には市長となった。四葉女子大出身で、まどかの先輩に当たる。
背筋のピシッとのびた美人。スタイリッシュで行動的。物事の筋を通す性分のため、既得権益にしがみつく旧タイプの役人や政治家、財界人には煙たがられている。
夕月市は夕張がモデルであり、かなり寂れている設定。
建築家・数寄屋五郎の弟子で、有望な都市計画デザイナーの卵だったが、父親の死去で後援者に市議会議員候補として推され立候補、当選した。今でも数寄屋五郎には可愛がられている。
アイデア市長として夕月市の復興に力を注いでいる。さまざまな事件を通して電子探偵団のメンバーと関わりを持っている。
講談社児童書の編集者・阿部薫さんがモデル?


数寄屋五郎(すきや・ごろう)

日本を代表する建築家。高齢だが、かくしゃくとして粋な大人。
権威にすり寄ろうとする輩を嫌う。若い女の子が好き。阿部薫子同様、電子探偵団とは浅からぬ因縁がある。


移川ワタル(うつしかわ・わたる)

山王学園で飛鳥の4年先輩。サッカーがうまいイケメン。まどかが一目惚れし、マコトに頼んで名前を調べてもらった。なぜ飛鳥に頼まなかったのかは、むしろマコトが知りたいところだろう。この件でマコトとまどかの関係性が決定したといえる。
四葉女子大付属でまどかの4年先輩、ミス四葉の橘たまきとつきあっており、まどかは玉砕した。


鈴木ベン(すずき・べん)

みずきの小学5年時のクラスメイト。みずきをからかうガキ大将だったが、どうもみずきに気があったようだ。


吉田ケン(よしだ・けん)

マコトの小学5年時のクラスメイト。学級新聞「5・2タイムス」の編集長で、ゴシップ記事をあることないこと書き立てるやっかいもの。マコトとまどかがつきあっているというガセネタを書き、クラス中に広まった。まどかの情報が名前や学校を含めてかなり詳細にわたっており、意外と情報収集能力がある。
ラ=メール洋菓子店のシュークリームが好物で、それで買収されることもある。


水田アカネ(みずた・あかね)

小学5年生時のマコトのクラスのナンバーワン美少女。マコトも多少あこがれていたが、自分が四葉女子大付属中へ進学希望のため、マコトに(次期ミス四葉の呼び声高い)まどかを紹介してもらい四葉での影響力を得ようとしたり、芸能人のゴシップを芸能マスコミに売ることで注目を浴びようとするなど、自己中心的で性格の悪い部分を露見し、マコトを失望させた。


沢井桃花(さわい・ももか)

マコトの中学での同級生で、探偵部の同僚。正統派すぎる美少女。おっとりした性格で人当たりもよい。探偵部に入部するくらいなのでミステリーに興味があり、パズルも得意。ネロ失踪で電子探偵団が休止状態の時期で、マコトが電子探偵団をちょっぴり忘れてしまうくらい魅力的だったのだが、探偵部部長の黒沢一馬とつきあっていることが発覚し、マコトは撃沈した。


黒沢一馬(くろさわ・かずま)3年 男
来宮ユウキ(きのみや・ゆうき)3年 男
草薙航(くさなぎ・こう)2年 男
小森春菜(こもり・はるな)2年女

風浜三中探偵部でマコトの同僚。黒沢が部長。


石橋ナオ(いしばし・なお)

ダイの中学の同級生で同じ将棋部。プロ棋士・米森九段を叔父に持つ将棋サラブレッド少女で、ダイと同じアマチュア四段。ダイは彼女を甘く見て、軽くひねられてしまう。
が、パズルではダイの方が一日の長があり、ナオにリベンジした。
マコト、飛鳥、みずきとは一度だけ顔を合わせ、「いつか電子探偵団に入りたい」と宣言した。
とてつもなく陽気でいたずらっぽく、ダイを「ダイっぺ」と呼んでおちょくるほど気安い。
あまりにダイにちょっかいだしまくりなので、もしや気があるのではないかと・・・


野間口裕(のまぐち・ゆう)高1 男
菊田孝司(きくた・こうじ)中3 男
楯岡ハジメ(たておか・はじめ)中2 男

あけぼの学院将棋部でダイの同僚。野間口が部長。


郷田直人(ごうだ・なおと)

みずきの中学での二年先輩。一本木中学陸上部キャプテン。絵に描いたようなイケメンさわやか先輩で、笑うと白い歯がキラリンしそう。
みずきも一時期ポーッとなっていた。
みずきの才能を高く買っていたが、みずきが退部した原因が自分に関わることは知らない。
めちゃくちゃかっこいいが、イヌを怖がる姿が超かっこわるく、みずきは幻滅した。
実際のところ、陸上一本の郷田は恋愛ごとにはからっきしのようである。


柳田ルミ(やなぎだ・るみ)

一本木中学3年。アイドルばりの美少女で男子に人気があるが、本人は幼なじみの郷田に夢中。だが郷田は自分になびくことはないばかりか、みずきの才能にほれこんでいることで嫉妬し、「どじょっ子三人娘」を通じて学校裏サイトにみずきの悪口を書き込ませた。このことが原因で、みずきは陸上部をやめることに。
地元の有力企業、柳田開発(社長・柳田貴文)の令嬢で、学校では女王様気取り。
・・・というが、いまだ本人は本編に登場していない。


どじょっ子三人娘

柳田開発に父親が勤務するという共通点を持つ、一本木中学の3人の女生徒。髪型からファッションまで同じ。柳田ルミの親衛隊を気取っており、ルミのご機嫌取りと、あからさまな弱いものいじめで評判が悪い。心ある者には「柳」にむらがる「どじょう」の意味を込めて「どじょっ子三人娘」と揶揄される。各人の本名は不明。
葉村の名家・二本松家の老主人・鷹子をそうとは知らずいじめているところを、みずきにとがめられ、返り討ちにしようとするが、通りがかった一条京香にとっちめられた。これにより、みずきと一条京香の再会、朧心影流への入門へとつながる。