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あけましておめでとうございます。新年一発目がこんなに遅くなって申し訳ない。

お正月にセルフお年玉として色々、本とかCDを買い込んでました。そんななか、LPでは持ってるけど懐かしいのでCDで買い直してしまったアルバムをひとつご紹介。

作曲家・編曲家・キーボーディスト、井上艦の1982年ファーストアルバム「予言者の夢」。その前年大ヒットした、寺尾聰「ルビーの指輪」のアレンジャーとして、レコード大賞編曲賞受賞など脚光を浴び、満を持してのソロアルバムだった。

当時の日本ミュージックシーンに於いて本作は衝撃だったと記憶する。桐朋学園出身の新進気鋭の音楽家で、大瀧詠一アルバムのストリングスアレンジなど、アカデミックかつエモーショナルな編曲で「本物の音楽家」を感じさせた。そのファーストアルバムは期待に違わぬ大傑作。斬新かつダイナミックな音世界に唸らされる。

それまでの、ルビーの指輪やジャズ・フュージョンバンド「パラシュート」での活躍に加え、本作1曲目「バルトークの影」に見られるスティーリー・ダンの影響など、ドナルド・フェイゲンやデビッド・フォスター等のアメリカA.O.R.的アルバムかと思いきや、ブリティッシュ・ロックやプログレのセンスも感じさせる。そのアレンジはむしろクラシックに通じるアンサンブルさえも感じられる。

当時からモダン・アートへの造詣など、多方面にわたる知識と興味が感じさせる、知的好奇心をくすぐるミュージシャンだ。本作でも、バルトーク、リンドバーグ、ヒンデンブルグ号、レイ・ブラッドベリ、ラリードライバーのマルク・アレンなどのモチーフにも現れる。作詞からジャケット・アートワークのプロデュースまでも井上自身が手がけ、ファーストアルバムから才覚がダダ漏れ。僕がルパート・ハインとかアルフレッド・コルトーとかクリスト・ジャバチェフとか知ったのも井上艦の影響だったな-。

本人自らのヴォーカルは、はっきり言ってへなちょこだが、これがアルバムを重ねるごとに味が出てくるので、このへなちょこぶりもサウンドの一環と思える。上手いボーカリストを雇うことは可能であったろうけど、自分で歌うことに意味があったんだろうな。

ちなみにタイトルの「予言者の夢」は、当時超流行ったアナログシンセサイザー、PROPHET 5を由来とする。音が良く頑丈で堅牢なそれはスタジオでもライブでもすっげえ使われてた記憶がある。