下北沢はおいらがはじめて小劇場の芝居を見た場所。もう10年近くなるけど、あまり変わりませんね。
さて、見た芝居は「シャープさんフラットさん」。ケラリーノ・サンドロヴィッチ主宰のナイロン100℃ですよ。またまたダブルキャストの芝居なのですが、おいらがそういうの好きというわけではなく、たまたま見たかった芝居がそうだったのですけどね。
で、今日見たのは、三宅弘城主演のホワイトチーム。三宅さんはちょっとイカれた、というかキ◎ガイ役をやらせると最高だな。キレた役を切れた芝居で見せてくれる(うまいこと言った?)。
お笑い劇団主宰・戯曲家の悲喜劇をいつもながらのナイロン芝居で見せるというものだけど、今回はケラさんの半自伝的作品でもあると言うことです。笑いを追求していくうちに、何が面白くて何が面白くないのかわからなくなってくると言う、作り手には身につまされるお話。現実から逃避して流れ着いたサナトリウムで、同じように現実と虚構の境界がつかなくなっている人々とドッタンバッタン迷走してゆく。
勝ち組だ負け組だとか、くだらない線引きに属しきれない中途半端で弱い人たちを、ケラさんは愛情をもって笑い飛ばします。お話としては救いも何もない地平に駆け抜けてゆくのだけど、古くさい言葉ですがペーソスを持って描かれます。作中の主人公がお笑い作家を目指すきっかけがバスター・キートンだと言うのだけど、キートンのように笑えるけど救いようのない崩壊劇、と言えましょうか。
残念なのは、打ち切りのように終わるエピローグ。何かしら教訓めいたことを残すような期待は全くないのだけど、「語るべきことが何もなくても、描ききること」は最低限必要なのじゃないかと思うのですが。好意的に解釈すれば、「最後の最後まで現実を直視できない」終わり方と言えなくもないけど、やっぱり「えっ、これで終わり?」と思わずにはいられない。
それと、半自伝的になったがゆえなのか、いつもの「世相も社会も時代も嗤いとばす」感覚がもう一つだったかな。ケラさん自分と向き合ったあげく、ちょっとまじめになっちゃったかな、と思えました。
怪優・清水宏も「らしさ」を出し切れてなかったのも惜しいな。
サトエリは尋常じゃないスタイルの良さ。もはや宇宙人だよね。
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