正確には発音的には「ブロウン」らしいのだけど、一応ブラウンでいきます。

「元ホンダ」で、撤退後にチーム代表のロス・ブラウンが買い取ったブラウンGP。開幕直前まで、参戦できるかどうかさえ危ぶまれたチームが、ふたを開けてみれば2009年F1開幕戦オーストラリアにて、初参加チーム開幕戦初優勝、しかもジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロの1-2フィニッシュの快挙です。

長年のF1ファンとしては、このような背景にあるチームですから、こんなニュースには両手を挙げて喜びたいところです。が、そう単純に喜べないのも事実。

こうなると、「ホンダが撤退せずF1を続けていれば、この栄冠はホンダのものだったのに」という意見が出るかもしれません。しかし、それは個人的にあえて否定しておきましょう。日本人でありホンダファンであるおいらとしては、認めたくない気持ちも秘めた上で。

まず、事実だけを言えば、昨年のホンダと今年のブラウンGPとの違いは何か。簡単に言えば「ホンダが抜けた」ことにつきます。シャシーとギアボックスは昨年のホンダ製ですから「完全撤退」ではないにせよ、エンジンは代わってメルセデス。レギュレーション変更に合わせて空力やタイヤ、安全面の変更が加えられました。それ以外はほとんど変わっていません。ドライバー、スタッフもほぼ引き継ぎ。

しかし、現状ではこの変化こそが優勝の原因としか言いようがありません。ホンダが続けていたらこうはならなかった、悪く言えばホンダがガンだったと言われても、反論のしようがないのです。これだけ劇的に結果が変わってしまったのでは。

なので、ホンダファンとしては、ホンダにあえてこの結果を重く受け止め、反省してもらいたいのです。いえ、今さらF1を撤退したことを責めたいのではありません。ホンダという企業が抱える問題が、昨年までのホンダF1の低迷に影響していたのだと。

ブラウンGPに変わって一番の変化が、意志決定のシステムがシンプルになったことなのだと、小倉茂徳さんは言います。日本のホンダとイギリスのホンダF1、距離をへだてた首脳達の意志決定が複雑だったのだと。過去の成功体験が悪影響を及ぼしていたことも否定できないと思います。

ホンダが抜けたことがこれだけ良い方向に向かった、この事実を、ホンダはきちんと検証し、今後に生かすべきです。F1に復帰するしないにかかわらず、これからも企業として成長したいのならば。ホンダがんばれの気持も込めて、そう思います。

メインスポンサーのないまっさらなレーシングスーツとキャップをまとったバトンとバリチェロ。この二人のすがすがしい笑顔が、今年のF1の象徴なのかもしれません。