プレジャードーム再び
演劇 No Comments »本日もまたシアターVアカサカ。なんでまたという貴兄よく聞けい。
そう、アルターエゴ公演The Pleasuredomeをまた観にいったわけさ。だが、単純に同じ舞台を2回観たというわけではない。
本日もまたシアターVアカサカ。なんでまたという貴兄よく聞けい。
そう、アルターエゴ公演The Pleasuredomeをまた観にいったわけさ。だが、単純に同じ舞台を2回観たというわけではない。
もちろん内容は同じ。今回はシンギョウジマサコと血のつながらぬ娘ツグミのお話。ストーリー自体は一度観ている、というせいか、今回の方が演出意図がよくわかった気がします。反面、絵ヅラの「熱さ」は男性キャストの方がヒシヒシと感じました。男性ゆえのダイナミックさのせいでしょうか。
おいら的には、ゲイに対しても性差に対しても偏見は無いつもりなのですが、同じテーマを男性で描くのと女性で描くのとでは、全く感じ方が異なるというのはやはり、どこかで「違い」に対する先入観や偏見があるからなのでしょうか。
ゲイであり愛されることへの渇望、つきようとする生命の焦り、この「身につまされ方」が、男性版の方が圧倒的にぐっと来たのです。おいらが男だからなのか? 女性版のシンギョウジマサコ役、香坂千晶さんが、あまりに美しく気高い、りんとしたたたずまいのせいで、なんか死にそうな感じがしないからかも。あれだけきれいなら愛されないなんてことはないだろうに、という思いもあるのやもしれませんな。そこへ行くと三ツ矢さんの方が・・・おっとっと失敬。
女性の同性愛の方が、背徳感が薄く感じたというのもおいらなりの偏見かも。男性版の方が救われなさ、切なさが強く感じられたのですよ。
芝居は両バージョンともしっかりしてました。ダンスもかっこよかったし。ただ、やっぱりもっとドラマを掘り下げて欲しいし、おのおののキャラクターの人間をしっかり描いてもらいたい。その上でえぐるような感情のほとばしりを刻んでこその舞台演劇だしね。
アルターエゴらしさは十分に味わえました。薄味だったけど。
追記:前回ユキナリと書いたキャラはミツナリだった気がします。ちゃんとパンフレット買うべきだったな。やっぱし。
赤坂に行った目的はここ。シアターVアカサカ。
劇団アルターエゴ第36回講演、「The Pleasuredome」であります。
以下ネタバレ多数。
アルターエゴといえば三ツ矢雄二歌劇団。といってもまちがいはないな、うん。これだけ大人数で歌って踊れる劇団はそうはない。若手が多くて発展途上の演劇人の、鍛えに鍛えられた芝居が見られるのは楽しい。志の高い舞台作りに好感が持てる。だが欠点もなくはない。
いつもながら快楽と愛と絶望がないまぜになった、人間の光と影をえぐる猥雑で高貴な舞台作り。三ツ矢雄二さん演ずるはゲイの老資産家、というとコメントに困る・・・というとさらにまずい気がしないでもない。
それはそれとしてだ!(ようしうまく乗り切ったぞ)
老資産家シンギョウジマサヒトは真に自分を愛してくれる男性を求めて、人知れぬ島に巨大快楽施設「プレジャードーム」を設立。若い男を連れ込んでは夜な夜な乱れたダンスパーティを開き、自分を愛してくれる者を求め続ける。若者をスカウティングするのは、マサヒトの息子スギヒト。名家の末裔であるマサヒトは、ゲイであることを偽装するため、スギヒトを身ごもりながら路頭に迷っていたスギヒトの母を妻にめとる。つまり二人は血のつながりがない。母親はスギヒトが中学生の時に病死、以来マサヒトは日に日に成長するスギヒトを男として意識してしまう。息子を愛するという禁断の葛藤から逃れるため、そしてガンによる死期を悟ると同時に、これまでの人生において、真に他人から愛された経験のない事実に打ちのめされたマサヒトはプレジャードームを作ったのだ。
だが快楽のみを求めてプレジャードームを訪れる若者達は、マサヒトの愛を受け入れることはなかった。そのたびに彼は愛を拒んだ若者を殺し、スギヒトは父のために死体を処分していたのだ。
青年ケンジは、密かに思いを寄せていた青年ユキナリミツナリが突然姿を消したことに疑念を抱く。同じ頃、厨房要員に化けてプレジャードームに潜入した刑事から、プレジャードームにまつわる失踪事件が後を絶たないことを聞かされ、ユキナリミツナリの消息を探すことに。
ユキナリミツナリの死体発見を期に明るみに出るマサヒトとスギヒトの罪。マサヒトはすべての責任は自分にあると毒をあおる。死の間際、スギヒトから愛を告白されるマサヒト。はじめて真に愛されたことを喜び、死んでいく。
と、まあ・・・なかなかヘビーな内容ではありますが、90分というコンパクトな時間で、あっというまに見終わりました。途中、ダンスと歌を交えて(ミュージカルというわけではない)ステージ的な楽しみもあり、見応えはあります。そもそも10メートル四方ほどの舞台の左右に客席があるという変則の舞台。面白い試みでした。
ただ、マサヒトにまつわるドラマが一本調子だし、人間の掘り下げも甘い気はしました。これはアルターエゴの舞台では毎度感じる。スギヒトが実はマサヒトを愛していたと言う事実も唐突だし、もう少し他のキャストのドラマも盛り込みたいところ。
ただしこれには訳がないわけではないのです。今回のキャストは全員が男性だったのですが、それに関連する事項があるわけで、それはまた後日書きたいと思います。
時代設定は1984年。この時代設定にどういう意図があるかはわかりませんが、プレジャードームと聞いてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドを思い出す人には懐かしい設定かも。今回のダンス音楽には「リラックス」や「プレジャードーム」などFGTHの曲が使われてました。でもこの頃は、三ツ矢さんがタッチの上杉達也をやってた頃だよなあ。
カズイサカエもしくはかずいさかえのうかつな日常
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このテンプレートはN.Design Studioのものをベースに改造しました。