前回、KYLYNを取り上げた渡辺香津美、そして80年代ドハマリしたマライア-(1)(2)(3)参照-、この2者が合体したことがあった。KAZUMI BANDである。

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どちらも1981年発表。香津美の大ヒットアルバム「TO CHI KA」に続いて発表された。「TO CHI KA」が海外ミュージシャンで固めたのに対し、こちらはオール日本人ミュージシャンである。

「TALK YOU ALL TIGHT」は邦題「頭狂奸児唐眼(とうきょうがんじがらめ)」という、氣志團?ってなタイトルだが、中身はインスト・ハードロックといっていいくらい、ジャズからはかけ離れて聞こえる。けどその実、インプロヴィゼーション(即興)とインタープレイ(かけあい)が、やはりジャズ畑の人たちだな、と思わせるのだ。デビュー時や最近の渡辺香津美からは想像しづらいが、ほんとにロックしてるのだ。当時としても、「香津美がマーシャルアンプにつないでる!」という驚きで受け止められていたように思う。

ちなみにこれらはあくまで「KAZUMI BAND」であり、渡辺香津美のソロでも、バックバンドでもない。マライアの中核でもある清水靖晃(Sax)、笹路正徳(Key)、山木秀夫(Dr)にくわえ、日本のミュージックシーンでは、ポップスからロック、ジャズまであらゆるジャンルから引っ張りだこの巨匠、高水「大仏」健司(b)という、当時としても現在においても最高のメンバーを揃えたこのバンド、もう世界レベルでございますよ。

「ガネシア」のほうは、一転して当時のはやり言葉で言う「エスニック」の味付けに、なおかつプログレッシブ・ロック的な荘厳さも併せ持つ、味わい深い一品。こちらの方がマライア色は濃いと言えるかも知れない。だが、これもまたジャズ的なのだ、リズムとハーモニーが複雑に絡み合う、プレイヤーの気迫とテクニックのぶつかり合い、それがチームプレイ的でもありバトルでもあり・・・特に清水のサックスのフレーズは、すでに現在のワールドミュージック路線をも感じさせるスケールの大きさ。

こういう創造的でオリジナリティの濃い~い音楽は最近聴かれないなあ。あらためて聞き返してみると、オリジナリティってほんと大事だなって思わせる。